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管理人黒峰の日々の徒然。 主に視聴アニメやらでの叫びなど。なんだかんだうだうだ言ったり空元気でテンション高かったり色々!
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お題を考えてる最中に派生したモノ。

読めばタイトルから分かるように、やりたかったのは最後らへんだけなんですが…
色々状況とか付け加えていったら当初と少し形が変わりました…が、まぁ、いいや。(ぇ

とりあえず年下女の子が年上彼氏に悶々してるだけです(ちょ、待て
むしろ子ども×大人。極端に言うと犯罪くさい年齢差があると思った方が分かりやすい、かも。

世界観だけちょっと特殊かもしれません。その他設定何も説明とかはないですが。
ただやりとりだけで進んでいく感じなのでその辺は想像で。

ちなみにシリアス~微甘ぐらいの気持ちです。

退屈な午後だった。


本日のお役目も順調に終わって、自由な時間が与えられた。

私と同年代の、普通に街で暮らしている女の子だったら、こんな時はきっと、
可愛い小物やお洒落な服のためにショッピングに行ったり、お喋りに華を咲かせるのだろう。


だって、外はぽかぽか、こんなに晴れている。


別に、私にそれが許されていないわけじゃないし、最低限の興味くらいはちゃんと持ち合わせてる。

それでもなんだか、外に出たい気分じゃなくて。

買い物、したいわけでもなくて。
お喋り…に付き合ってくれる友達は掴まるかそもそも微妙だけど。(だって街にはなかなか帰らないし)


疲れちゃった、かな。簡単に言うと。

…何に、とは聞かないでほしいです。女の子の秘密ってことで。


まぁそんなわけで手持ちぶさたになった私は、とある人の部屋を訪れた。

疲れてるのに誰かと会いたいなんて矛盾?

いえいえ、身体は至って元気なのですよ。


「…入っても、いいですか」


控えめに訊くと、どうぞ、と了承のお声が聞こえたので、一応遠慮がちにノブを回してみた。

入ったところでその人はこちらに目もくれない…


「どうしました?」


…わけじゃなかった。

それはもう、少し前までの話。
初めて会った頃の、まるで相手にされてなかったあの頃とは違うのだと改めて実感。嬉しい。


…それなのにこの人ときたらどうだ。


五分後には、私のことなんてまるで空気みたいにしてくれちゃって。

部屋に入ってから少し他愛もない話をして、
まだ目を通さなきゃいけない書類があるからともう一度デスクに向かって、この通り。

あと一枚だけって言ってなかった?
さっきからもう十回はページめくってるのは目の錯覚?

この人はとんでもなく優秀な人で、たった一枚の書類に目を通すのに
一分も要さないことぐらいよく知ってる。

なのにあれから、何分経ったっけ。


「…………」


じーーーっと見つめるだけの時間。何分?


ねぇ、ちょっと。


相手してくれるから、部屋に入れたんじゃなかったんですか?

それとも、私、邪魔でしたか?


それなら仕事がとか出てけとか言ってくれた方がいっそ、
あれ、そういえば、一度も言われたことないや。

さすがに取り込んでる時は部屋には入れない。(というか自分も空気を読む)
(でも顔だけは出してくれたりして)

険悪ムードだったあの頃も、こんな風に空気扱いだっただけで、邪険にはされなかった。

つまり……なんなんだ、この人。天然?確信犯?


傍にいたいだけ居させてくれるって、どゆこと?


一応私が、あなたの恋人だから?


「……………悔し…」


甘えたいだけだって、バレてる?バレバレ?お見通し?

そんな何十分も経ってないくせに待てない子どもだって、見え見え?

本当は買い物より、この部屋に来たかったの、知ってる?

お喋りしたい人はあなただったの、気付いていますか?


可愛い小物はふたりで見て、思い出と一緒に飾りたい。

まだ慣れないお洒落な服は、あなたに選んでほしいんです。


「………………」
「………………」


何も言わないのは、どうして?


これじゃあ出て行くことも出来ないのに、それが妙に心地良くて、安心してるんだ。

ここにいて良いんだって、勝手に言われた気がしてしまう。


こんなんじゃいつまでも甘え癖が抜けない。むしろ酷くなってない?

しかもこの人、無言で甘やかすタイプだ、どうしよ、超上級。


そんなあなたに甘やかされた私は、ぽかぽか陽気をひとりで歩くのも、嫌になっちゃったんですよ?


「……子ども…だな…」


こんな自分、ヤなのに。
こんな甘えんぼの自分に、疲れちゃったのに。

精一杯背伸びして、あなたに近付こうとする私を簡単に見透かしてくれちゃって。


釣り合いたいのに、どうして許してくれないの?


「………まったく、あなたという人は」
「!」


その声に弾かれたみたいに肩が揺れた。


さっきまでこっちに目もくれなかったあの人が、ため息混じりに私を見てる。

それも、ひどく優しい瞳で。



「あなたはいつもそうやって、じっと私を見ていますね」
「そんっ…な、こと」
「あるでしょう?」


だって、好きだからだ。


単純な言葉しか浮かばなかった。

うっ、かまってちゃんみたいでヤだな。


「それでも何も言わない私にやきもきしてる」


あぁ、やっぱりバレてた。どんなに隠そうとしたっていつもそう。


この人は簡単に見破ってしまう。

あなたが大人で、私がお子様だから?


背も高くて落ち着いてて、容姿端麗、文武両道、上位階級、将来有望、まだまだまだ。

追い付けない言葉ばかりがこの人を飾り立ててしまう。


こんなに褒め言葉の似合う人、他にいる?


「ふふ」
「…どうして何も言ってくれないんですか」


見透かされてたこと、勝ち誇ったような笑み、いろんなことが悔しくってむくれた。

…やっぱり私はどうしたってお子様らしい。


「どうしてでしょうね?」
「や、訊かれても」
「あなたが絶対に私に声を掛けないのと、同じ理由ですよ」


私が声を掛けないのは、邪魔をして追い出されるのが嫌だからだ。


「……私、追い出す側じゃないです」


そう言うと、彼はもう一度ふふ、と上品に笑う。そして言う。


私がもう少し待ってくださいなんて言ったら、
あなたはいつまでだとか待てないとか言って帰ることが出来る。

いつかな、まだかな、もうちょっと?

そんな風に私のことばかり気にして、そわそわ待ってくれるあなたが可愛らしくて、と。


「………えっ、と?」
「要はね、まだここに居てほしいんですよ」


…あれ、超上級な甘やかし、実は、束縛?


「君を帰したくない」


優しくて、それでいて、切なそうな瞳。

とびきり甘い声は耳に、とろけそうに熱い指は頬に触れた。


「わかりましたか」


顔、近い。

しかも先生みたいな言葉を、イケないことしてるみたいな口調で言われて。


あの、いくらお子様な私でも、ときめく心臓くらい持ってます。


「………帰りません、よ、私」


大人の余裕には程遠いけれど、精一杯、覚悟したつもりで言った。


そしたら見つめてくる、哀しくなるくらい大人の男の人の瞳。

それがパッと瞼で見えなくなって。


「それは良かった。まだお仕事、終わってないんです」
「へ?」


絞りだすように紡いだ言葉を、この人はなんてあっさり受け止めたのだろうか。

幼気な乙女の勇気を返してください。


それでもって聞き捨てならない言葉をさっくり言わないで。


「作業の途中なのに、声掛けたんですか」
「あなたがそんな無邪気な瞳で見て来るから、気になって仕方がないんですよ」
「む、無邪気…?」


無邪気、だった?


こんな自分は嫌だなんて言いながら、それでも、

甘えたいとか、思ってたのに?


「無邪気で純粋です。私にしてみれば、ずっとね」


そう言って細められた瞳は、やっぱり優しくて切なそうで、

あぁ、そうか、


愛しそうな瞳だと、


やっと気付いた。


「……お子様、ってこと?」
「…ある意味ではそうなるかもしれませんが」


まるで流れるみたいに自然に顎に添えられた指がくすぐったい。


「恋人を見つめる瞳にしては、少し綺麗過ぎる、と」
「……?」
「私はもっと複雑な想いで、あなたを見つめていますよ」


私の濁りきった眼には、とても貴女は子どもとは映りそうにないですね、と彼の腕に引き寄せられて、


そっと唇を奪われる。




そのキスは、私を子ども扱いしたことなどないという、彼の無言の証だった。


イノセント・アイズ


「もう一度言います。ここにいなさい。」
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