管理人黒峰の日々の徒然。
主に視聴アニメやらでの叫びなど。なんだかんだうだうだ言ったり空元気でテンション高かったり色々!
スザクを騎士に任命した後のお話です。
まったりほのぼのしながら真面目な話をしています。…いつもですか。苦笑
珍しくユフィ側の葛藤とか決意です。
いつもうだうだ言っている騎士を励ましているので(笑)たまには逆の立場の二人でも。
(サイト閉鎖に伴い、加筆修正した上での再掲載になります※加筆修正2011/2/10)
まったりほのぼのしながら真面目な話をしています。…いつもですか。苦笑
珍しくユフィ側の葛藤とか決意です。
いつもうだうだ言っている騎士を励ましているので(笑)たまには逆の立場の二人でも。
(サイト閉鎖に伴い、加筆修正した上での再掲載になります※加筆修正2011/2/10)
政庁最上階。空中庭園。
ここは今日も変わらず綺麗です。
ひだまりのにわ
「いい天気ですね、スザク」
ありきたりな言葉だったけれど、隣に座っているスザクも同じように空を見上げて相づちをうつ。
「そうですね、本当に」
空は穏やかに晴れていて、浮かんだ雲もゆっくり流れて。
暖かな風が時折頬を撫でて、草花が一緒に揺れる。
下界の出来事なんてまるで知らないように、美しく、変わらない場所。
今は亡き兄が仕立てたこの場所は、まるでいつだって優しかった彼を映したように暖かい。
午前中に仕事を終えたユフィことユーフェミアは、一人で午後を過ごすのは少しだけ寂しかったので、スザクを誘ってこの庭園を眺めている。
軍人として戦いに身を投じる彼と、この場所でこんな風にのんびり出来るこの時間が嬉しかった。
今日は幸い、出撃命令もないためランスロットの出番はない。
学園の方も丁度休みだったので、ユフィの突然の誘いにもスザクは快く応じてくれた。
ただ草原に座っているだけなのだけれど、一人でいるのと隣に誰かがいるのとではやっぱり心持ちが違う。
それ以上に相手がスザクだから、大好きな人だから自然と心も弾むというもの。
「…どうかしましたか?」
「いいえ」
じっと自分の顔を眺めていたユフィにスザクが尋ねると、彼女はただそう言って微笑を浮かべた。
傍から見て判るほど、なんだか幸せそうな顔をして。
とても簡単なこと。
隣にスザクがいるから。
よくよく考えると、騎士に任じたからといってあまりスザクと共にいる時間はそう以前と変わっていなかった。
姉の騎士達はほとんどと言っていい程毎日姉の傍らで補佐をしているというのに。
…理由は、スザクが技術部に所属していること。
それと…自分に補佐が必要になる様な仕事がほとんどまわってこないこと。
自分に出来ることを、頑張ろうと決めた。
少しずつ、姉にも自分の気持ちが分かってもらえるよう努力しているつもりなのだけれど。
「難しいですね…」
「え?」
どこか寂しそうに遠くを見つめる主に、スザクは心配になる。 「ユーフェミア様?」
「何か、無理をしているんじゃないですか?自分に出来ることなら相談してください」
自分は貴女の騎士ですから、と告げる。
ユーフェミアは、皇族でありながら名誉ブリタニア人になった自分を“枢木スザク”として認めてくれた人だった。
争いを好まず、差別を許さず、父を殺した過去を告げた自分さえも突き放さず、好意を抱いてくれた人。
自分の為に、騎士という役目まで与えてくれた、誰よりも尊敬する人。
そんな彼女だからこそ、力になりたかった。
「そんなこと…」
「本当ですか?貴女はいつも無茶をなさるから」
苦笑混じりでスザクが言う。
「出会った時だって、シンジュクに行った時だって…ホテルジャックの時も式根島の時も」
窓から飛び降りたこと。
心ないブリタニア人を一喝したこと。
純血派の争いに割って入ったこと。
ニーナをかばって人質として名乗り出たことも生徒会長に聞いた。
ゼロと共に死を命令された自分を助けようとしたこともセシルさんから。
思い出せば思い出すほど、この人は出会ってから無茶ばかりするのだ。自分の命も顧みずに。
ただ他人の為に死にたかっただけの自分と、彼女は全く違う目的で命を懸けていた。
不思議な存在で、…大切な存在。
だから、目が離せない。
「私には…それくらいしか出来ないから…」
立派なことだなんて、言えない。
ほとんど皇族という身分があってこその命懸け。
自分を傷つけたら罪に問われる、そこにつけ込んで。
卑怯なやり方。
ただの“ユーフェミア”では、誰も守れない。
姉のように戦うことも、兄のように仕切ることも出来ない頼りない自分。
それでも、変わっていきたくて。
「…知ってましたかスザク」
「何をですか?」
前だけを見て、ユーフェミアは微笑む。
「思い出したんです。そうしたら…」
「?」
「分かったんです。私…」
スザクの方に向き直り、
「スザクがいる時は、頑張れちゃうの」
ユフィは綺麗に笑う。
つい、見惚れてしまうほど綺麗に。
「貴方がさっき言っていた時も、貴方を騎士に選んだ時も、何故かはっきりと自分の言葉が言えたんです」
いつも、何か言おうとしても抑えられていたのに。
不思議と、その抑制にも反発して意見を押し通せた時はいつもスザクがいた。
画面の向こうだったり、遠くにいたり、話に関わっていたり、それは色々だけどスザクがいたことは確か。
我が儘になってしまうこともある。
でもそれだけ譲れないものが、あったということ。
「不思議だったんですけど、理由はこの前気付きました」
笑っていてほしい。
だって、好きだったから。
スザクが笑ってくれるなら、どんなことだって頑張れた。
「私ね、たとえお姉様が全部仕事をやってしまっても、自分に出来ることはないか尋ねるようにしてるんです。それだけじゃなくて、ちゃんとやりたいって気持ちも伝えて」
姉に出来ることに比べたら、まだまだ力不足だから。
それでも、私の見たい世界にはその力が必要だから。
「いつか、お姉様が安心して任せられるような自分になりたいんです」
いつになるか、分からないけど少しずつ。
少しずつで良いから、大好きな人が笑っていられる世界に。
「ゆっくりですけど頑張りますから」
誰よりも、貴方の為に。
「だからね…」
スザクの袖を、きゅっと掴む。
「傍にいてください」
「ユーフェミア、様…」
「スザク、貴方がいてくれるなら、頑張ります。頑張れます。」
正直、少し諦めかけていた。
どうしたら良いのか、分からなくなっていた。
副総督としてここにいる意味が、価値が、無くたっていい、けど、欲しかった。
出来ることが欲しかった。足手まといは嫌だった。
何も出来ない自分。争いが起きること。ルルーシュ達を救えないこと。全部全部、悲しくて。
それでも、立っていられたのは目の前にいる、この人がいたから。
騎士に選んだのは、姉を頼らず決められることが自分にもあると証明したくて。
騎士という立場が、スザクの目標の助けになればと思ったから。
それが、いつの間にか、変わっていた。
騎士証を返されて、ニーナに会って、ようやく、ようやく気付いたの。
立っていられたのは、頑なで優しくて不器用な、スザクだったから。
「無敵、なんです…」
そこまで言ってしまうと、ユフィはすっかりうつむいてしまった。
「…有り難う、ございます。貴女がそう願うのであれば、自分は貴女の御側にいます」
ユフィがはっと顔を上げて何か言おうとするのを、手で制する。
「…許されるのなら…いたい、です」
端的な言葉に、飲み込みが遅くなる。
数秒掛かってやっと理解すると、言葉がなくなってしまった。
いつも、スザクは命令や願望は聞いてくれる。自身の意思に関係なく。
ただ、ユフィが今聞きたかったのは従う言葉じゃなかった。
スザクの意思が伴っていなければ、それは欲しい言葉ではない。
それが、今。
「……ふふ」
「…笑うところでしたか…」
「いえ、ごめんなさい、でも」
照れくさそうにした顔が、とても可愛くて。
どこまでも謙虚なのが、スザクらしくて。
不器用な言葉も全部、抱きしめてしまいたいほどに。
愛おしくて。
「……」
泣きたくなるくらい、屈託の無い笑顔がしばらく続く。
「…ずるいですね、貴女は」
「え?」
袖を掴んでいたユフィの手に、自分のそれを重ねて見つめる。
「これ以上触れられないことを分かってやっているなら、相当意地悪な人だよ。」
「!」
染まった頬に触れられないことが、少し勿体無いな、なんて思いながら。
不器用な騎士は不敵に笑う。
いつもの空中庭園。
今日は少し、
違った風景。
ここは今日も変わらず綺麗です。
ひだまりのにわ
「いい天気ですね、スザク」
ありきたりな言葉だったけれど、隣に座っているスザクも同じように空を見上げて相づちをうつ。
「そうですね、本当に」
空は穏やかに晴れていて、浮かんだ雲もゆっくり流れて。
暖かな風が時折頬を撫でて、草花が一緒に揺れる。
下界の出来事なんてまるで知らないように、美しく、変わらない場所。
今は亡き兄が仕立てたこの場所は、まるでいつだって優しかった彼を映したように暖かい。
午前中に仕事を終えたユフィことユーフェミアは、一人で午後を過ごすのは少しだけ寂しかったので、スザクを誘ってこの庭園を眺めている。
軍人として戦いに身を投じる彼と、この場所でこんな風にのんびり出来るこの時間が嬉しかった。
今日は幸い、出撃命令もないためランスロットの出番はない。
学園の方も丁度休みだったので、ユフィの突然の誘いにもスザクは快く応じてくれた。
ただ草原に座っているだけなのだけれど、一人でいるのと隣に誰かがいるのとではやっぱり心持ちが違う。
それ以上に相手がスザクだから、大好きな人だから自然と心も弾むというもの。
「…どうかしましたか?」
「いいえ」
じっと自分の顔を眺めていたユフィにスザクが尋ねると、彼女はただそう言って微笑を浮かべた。
傍から見て判るほど、なんだか幸せそうな顔をして。
とても簡単なこと。
隣にスザクがいるから。
よくよく考えると、騎士に任じたからといってあまりスザクと共にいる時間はそう以前と変わっていなかった。
姉の騎士達はほとんどと言っていい程毎日姉の傍らで補佐をしているというのに。
…理由は、スザクが技術部に所属していること。
それと…自分に補佐が必要になる様な仕事がほとんどまわってこないこと。
自分に出来ることを、頑張ろうと決めた。
少しずつ、姉にも自分の気持ちが分かってもらえるよう努力しているつもりなのだけれど。
「難しいですね…」
「え?」
どこか寂しそうに遠くを見つめる主に、スザクは心配になる。 「ユーフェミア様?」
「何か、無理をしているんじゃないですか?自分に出来ることなら相談してください」
自分は貴女の騎士ですから、と告げる。
ユーフェミアは、皇族でありながら名誉ブリタニア人になった自分を“枢木スザク”として認めてくれた人だった。
争いを好まず、差別を許さず、父を殺した過去を告げた自分さえも突き放さず、好意を抱いてくれた人。
自分の為に、騎士という役目まで与えてくれた、誰よりも尊敬する人。
そんな彼女だからこそ、力になりたかった。
「そんなこと…」
「本当ですか?貴女はいつも無茶をなさるから」
苦笑混じりでスザクが言う。
「出会った時だって、シンジュクに行った時だって…ホテルジャックの時も式根島の時も」
窓から飛び降りたこと。
心ないブリタニア人を一喝したこと。
純血派の争いに割って入ったこと。
ニーナをかばって人質として名乗り出たことも生徒会長に聞いた。
ゼロと共に死を命令された自分を助けようとしたこともセシルさんから。
思い出せば思い出すほど、この人は出会ってから無茶ばかりするのだ。自分の命も顧みずに。
ただ他人の為に死にたかっただけの自分と、彼女は全く違う目的で命を懸けていた。
不思議な存在で、…大切な存在。
だから、目が離せない。
「私には…それくらいしか出来ないから…」
立派なことだなんて、言えない。
ほとんど皇族という身分があってこその命懸け。
自分を傷つけたら罪に問われる、そこにつけ込んで。
卑怯なやり方。
ただの“ユーフェミア”では、誰も守れない。
姉のように戦うことも、兄のように仕切ることも出来ない頼りない自分。
それでも、変わっていきたくて。
「…知ってましたかスザク」
「何をですか?」
前だけを見て、ユーフェミアは微笑む。
「思い出したんです。そうしたら…」
「?」
「分かったんです。私…」
スザクの方に向き直り、
「スザクがいる時は、頑張れちゃうの」
ユフィは綺麗に笑う。
つい、見惚れてしまうほど綺麗に。
「貴方がさっき言っていた時も、貴方を騎士に選んだ時も、何故かはっきりと自分の言葉が言えたんです」
いつも、何か言おうとしても抑えられていたのに。
不思議と、その抑制にも反発して意見を押し通せた時はいつもスザクがいた。
画面の向こうだったり、遠くにいたり、話に関わっていたり、それは色々だけどスザクがいたことは確か。
我が儘になってしまうこともある。
でもそれだけ譲れないものが、あったということ。
「不思議だったんですけど、理由はこの前気付きました」
笑っていてほしい。
だって、好きだったから。
スザクが笑ってくれるなら、どんなことだって頑張れた。
「私ね、たとえお姉様が全部仕事をやってしまっても、自分に出来ることはないか尋ねるようにしてるんです。それだけじゃなくて、ちゃんとやりたいって気持ちも伝えて」
姉に出来ることに比べたら、まだまだ力不足だから。
それでも、私の見たい世界にはその力が必要だから。
「いつか、お姉様が安心して任せられるような自分になりたいんです」
いつになるか、分からないけど少しずつ。
少しずつで良いから、大好きな人が笑っていられる世界に。
「ゆっくりですけど頑張りますから」
誰よりも、貴方の為に。
「だからね…」
スザクの袖を、きゅっと掴む。
「傍にいてください」
「ユーフェミア、様…」
「スザク、貴方がいてくれるなら、頑張ります。頑張れます。」
正直、少し諦めかけていた。
どうしたら良いのか、分からなくなっていた。
副総督としてここにいる意味が、価値が、無くたっていい、けど、欲しかった。
出来ることが欲しかった。足手まといは嫌だった。
何も出来ない自分。争いが起きること。ルルーシュ達を救えないこと。全部全部、悲しくて。
それでも、立っていられたのは目の前にいる、この人がいたから。
騎士に選んだのは、姉を頼らず決められることが自分にもあると証明したくて。
騎士という立場が、スザクの目標の助けになればと思ったから。
それが、いつの間にか、変わっていた。
騎士証を返されて、ニーナに会って、ようやく、ようやく気付いたの。
立っていられたのは、頑なで優しくて不器用な、スザクだったから。
「無敵、なんです…」
そこまで言ってしまうと、ユフィはすっかりうつむいてしまった。
「…有り難う、ございます。貴女がそう願うのであれば、自分は貴女の御側にいます」
ユフィがはっと顔を上げて何か言おうとするのを、手で制する。
「…許されるのなら…いたい、です」
端的な言葉に、飲み込みが遅くなる。
数秒掛かってやっと理解すると、言葉がなくなってしまった。
いつも、スザクは命令や願望は聞いてくれる。自身の意思に関係なく。
ただ、ユフィが今聞きたかったのは従う言葉じゃなかった。
スザクの意思が伴っていなければ、それは欲しい言葉ではない。
それが、今。
「……ふふ」
「…笑うところでしたか…」
「いえ、ごめんなさい、でも」
照れくさそうにした顔が、とても可愛くて。
どこまでも謙虚なのが、スザクらしくて。
不器用な言葉も全部、抱きしめてしまいたいほどに。
愛おしくて。
「……」
泣きたくなるくらい、屈託の無い笑顔がしばらく続く。
「…ずるいですね、貴女は」
「え?」
袖を掴んでいたユフィの手に、自分のそれを重ねて見つめる。
「これ以上触れられないことを分かってやっているなら、相当意地悪な人だよ。」
「!」
染まった頬に触れられないことが、少し勿体無いな、なんて思いながら。
不器用な騎士は不敵に笑う。
いつもの空中庭園。
今日は少し、
違った風景。
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