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管理人黒峰の日々の徒然。 主に視聴アニメやらでの叫びなど。なんだかんだうだうだ言ったり空元気でテンション高かったり色々!
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やっとスザク登場です…
やっと騎士姫らしくなってきたかなと…orz

ちょっと5話補完くさいです←
長さの関係で話が明るくなってます。
が、きっと次回は暗い方に向かうので大丈夫。(何

…これどうやって終わらせよう。(ぇ

いけしゃあしゃあとやりたい放題なスザユフィやってますー笑
…えぇい!やってしまえ!(自棄←


―…白い、白い世界だ。どこまでも広がる。その中で、黒い人が…

「うっ…」

―やめてくれ…違う、違うんだ。こんな暗い世界…見たくないのに…!

「…ク、…スザク」
「…ん…っ」
「スザク!」
「!」
桃色だ。目を開けた枢木スザクの前には、桃色の世界が広がっていた。付け加えて、白にも間違えるほどに優しい肌色、かつてこの国の象徴であった桜色と、二筋の紫の光。けぶる視界を凝らすでもなく、次瞬その正体を理解させられた。
「スザク!?…良かった…目が覚めたのですね…」
澄んだ声が耳によく通り、視界のもやが一気に掻き消えた。
「ユ、…副総督…」
この状況でも言い直すスザクに少し表情が硬くなったが、ユーフェミアはすぐに今はそんなことより、と首を横に振って大きな瞳を閉じた。長いまつ毛が形の良い顔に影をつくる。胸に溜まっていた大きな鉛を一息に吐き出す様子は、安心したらしいものだった。対するスザクは、固くなって困惑していた。
「あ、あの…」
「え?」
安心しきっていたユーフェミアは、戸惑った声に瞳を開け、きょとんとした顔をしている。視界がお互いの顔でいっぱいになるほど、接近しすぎていた。仰向けになっているスザクを、頭側から覗き込むような体勢で見ていたユーフェミアが、彼の意識を取り戻しそうな兆候に気付いて思わず顔を寄せた為である。一拍おいて、ユーフェミアは合点がいったように上体を反らした。
「ごめんなさい、つい…!」
「い、いえ…」
少しの沈黙が訪れて、なんだかおかしくなってスザクは小さく笑った。ユーフェミアも薄く笑い、それから居住まいを正して訊く。
「どこか痛むところはありますか?」
「いえ、特には…」
起き上がろうとして、スザクはふと手の温かさに気付いた。自分の右手は、傷一つ無い白い手に包まれていた。まさに白魚の様なその手の主が、薬は必要なさそうだと思案していたところに声をかける。
「…ずっと握っていてくれたんですか?」
自分の傷だらけの手で触れてしまうことなんて勿体無いほどに綺麗で温かい手だったが、スザクはそっと左手を添えた。ユーフェミアは、やはり、というか思っていた通り、手を重ねても気にする素振りはない。
「はい。その、スザクの手が、温かかったので…」
「そうでしょうか…?」
「えぇ、とても」
ユーフェミアは綺麗に笑った。実のところ、スザク自身はとても冷えていた。我を忘れて震えるほどに怯えたせいで。疲れたのか、ふと意識の遠のいたスザクを技術部の人間がこのベッドまで運んだ後、寒くないようにと思ってかけた毛布ですら、意味を成していたかは分からない。けれど、やはりどんなに冷えていても生きた人間には体温がある。たとえどんなに僅かであろうと、それを感じていたかった。生きている証。スザクが生きていることを放したくなかった。だからずっと握っていた。目が覚めるまでは、絶対に離したくなくて。

―…生きていてくれて、本当に良かった…

「…?」
一人、大切なものをしまう様な顔をするユーフェミア。対するスザクは、どう考えても彼女の手の方が温かいと思うのだが、と訝しげに重ねた手を見つめていた。
「…っ」
「スザクっ」
スザクは起き上がろうとして上体に負荷を掛けたが、上手く動かなくて一度失敗してしまう。思わず手を放し、ユーフェミアはそれを支えた。
「大丈夫ですか?まだ安静にしておいた方が…」
「外傷はありませんから…大丈夫ですよ」
ユーフェミアの手を少し借りて起き上がり、スザクは壁にもたれた。周囲を見渡し、そこでようやく医務室であることに気がついた。
「技術部の方が先程までいらしたのですが、ランスロットの修理があるからというので出て行かれました」
「そうですか…」
ロイドさんか、セシルさんだろうか。迷惑をかけてしまった。ランスロットのことも、自分のことも含めて。おそらく二人とも気になどしていないだろうが、後で謝る決意をする。
「特に女性の方、青い髪の。心配してましたよ」
「後できちんと謝ります。迷惑もかけてしまっただろうし…」
「それが良いと思います。…謝るよりは、ありがとうと言った方が良いかもしれませんが」
スザクの腑に落ちないと言いたげな顔に、ユーフェミアは思わず苦笑した。
「心配するというのは、そういうものです」
「…?」
意を探ろうとするスザクを軽く見やって、ユーフェミアは次の話題に移る。
「お姉様も無事帰還出来ました。ありがとう、スザク」
「ご無事ですか…良かった」
自分と別れてから、心配ないだろうとは思っていたが、エナジーフィラーが尽きたと言っていたので本当に無事で良かった。誰かが死ぬのも、それで誰かが悲しむのも、自分はもう見たくない。そこまで考えて、ふと当然の疑問が頭に浮かんだ。
「そう言えば、副総督はどうしてここに?」
今更と言ってしまえば今更な質問だが、本来ここに留まっていられるほど時間に余裕のある身ではないだろうに。しかしユーフェミアの気がかりはそこではなかった。
「ユフィ、と。今は誰もいませんから、声に出しても構いません」
声に出しても、と聞いたところでスザクは先の自分を思い出し、頬が熱くなった。画面越しに、声に出していないとはいえ、自分は確かに“ユフィ”と言った。二度と呼んではいけなかったはずの名を。初めて出会った時、あの時しか許されなかった名を。誰も失わない為に。もう誰も悲しい思いをしなくて済むように、と言った彼女の想いに応える為に、命令が欲しくて。
「私も枢木准尉ではなく、スザクと呼んでいます。スザクの呼びやすい方で構いません」
「…しかし…」
それでも色々と考え込んでいるスザクに、ユーフェミアは微笑んだ。
「私はユフィと呼んで欲しい、と最初に言いました。…もちろん、名を名乗れないことも理由の一つでした。ですが、今でも私は副総督ではなく、ユーフェミアとして貴方の前にいるつもりです」
第三皇女でも、副総督でもない。一人の人間として自分は会っている、と。迎えに来た姉の騎士に、目覚めるまではここにいさせてほしいと言ったのも、今ここにいるのも私自身の意思だから、と。
「今だけでも構いません。私はスザク、貴方と話がしたいのです」
名誉ブリタニア人でも、技術部所属のパイロットでも、准尉でもない。どれも“枢木スザク”だけれど、肩書きなど関係ない、“枢木スザク”という人間として、と。
「……分かりました。ユフィ」
そう静かに語るユーフェミアの真摯な想いを受け、スザクはその名を呼ぶ。随分懐かしいような響きに、照れくさくもありながら。

「ありがとう」

ユーフェミアは、咲き誇る笑みを見せた。

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