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管理人黒峰の日々の徒然。 主に視聴アニメやらでの叫びなど。なんだかんだうだうだ言ったり空元気でテンション高かったり色々!
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いつもより違う方向に暗めな騎士姫。身分の差に悩んでいます。

そしていつもより強気に攻めるユフィさんと騎士の顔をしてみるスザクさん。
珍しく汚い気持ちをぶつけ合っております…いちゃつきながら喧嘩もしている感じです(ぇ
二人とも腹黒い感じ…ちょっと別人臭が否めません。(´p`)

でもっていつも以上、というか最初で最後かな…?と思われるほど破廉恥です(爆
とはいえ年齢制限するまでじゃないですが、ちょっとばかり刺激が強いかもなので、
いつものほのぼのシリアスを望まれている方、苦手な方はご注意ください。

最後の別解釈の方は、境界線を越えるという同テーマでの違うお話です。
こちらはユフィが特区の設立を思い立った時、という体です。
短いですが、いつも通りのほのぼのめな感じなのでご安心ください。

(サイト閉鎖に伴い、加筆修正した上での再掲載になります※加筆修正2011/2/10)

昼下がり、いつも通り軍務をこなしていた時のこと。

「え?本当ですか?」
「えぇ。自分の騎士が操縦するランスロットの中を是非ご自分の目でご覧になりたいんですって」

そう説明するセシルの顔は、これもまたいつも通り穏やかで。

「スザクくん、案内頼める?…私とロイドさん、どうしても外出しなければならない用があって…」
「それは構いませんが…自分で良いんですか?」
「もちろんよ。スザクくんはあの機体のデヴァイサーなんだから。何より、皇女殿下の騎士なんだもの。ご一緒しても問題無いでしょう?」

セシルはウィンクしてみせた。


「じゃあ、ユーフェミア様のご案内、よろしくね」


Over Line―


「スザク!」
「ユーフェミア様」

翌日、ボディーガードの女性を一人後ろに連れて、ユーフェミアが技術部にやって来た。
急いでその元に駆けつけると、すぐさま頭を下げる。

「お待ちしておりました」
「突然こんなお願いをしてごめんなさい。どうしても、見ておきたくて」

顔を上げると、ユーフェミアの柔らかく微笑む姿がそこにある。

「貴方の操縦するランスロットの中を、私に見せていただけますか?」
「イエス・ユア・ハイネス」
「ではユーフェミア様、私はここでお待ちしておりますので」
「えぇ、ありがとう」

女性をこの場に残して、スザクはユーフェミアの手をとる。

「では、こちらへ」
「はい」

これが人前で触れられるギリギリの線。
自分達に許された正しい距離。



「足元、気をつけてください」

自分が先に機体に乗り込み、そこからユーフェミアが登ってくるのを手伝う。
スザクの手を取りながら、ヒールでも器用にランスロットの操縦席までたどり着いたユーフェミアは自然と一つ息をついた。

「少し狭いですが、我慢してくださいね」
「大丈夫です」

デヴァイサー一人乗り込めれば十分なコクピットは、二人で乗り込むには些か狭かった。
それでもユーフェミアは一通り自分の周囲を見回す。

「……」

それをじっと見ていたスザクは疑問を投げかける。

「…どうして急に、ここをご覧になりたいと思ったのですか?」
「それは…えぇっと…」
「?」

数秒迷った表情を見せ、意を決したように言葉を吐き出す。

「スザクの乗る機体ですから、気になったんです」

うつむき加減でユーフェミアは続けた。

「安全面とか…あ、もちろん特派の技術を信用していないわけではないのですが…」
「…本当に?」
「……」

スザクの問いかけにユーフェミアは答えない。
黙ってしまった彼女をスザクは心配する。

「ユ…」

スザクが言いかけた時、突然ユーフェミアはスザクに身を寄せた。

「ユ、ユーフェミア様?」
「ユフィです」

顔の見れない彼女にそう強く言い切られ、スザクはここなら大丈夫かと判断し、彼女に従い名前を呼ぶ。
二人きりの時だけ、呼ぶことを許された名を。

「…ではユフィ?…これは何の真似ですか」

少し冷たさを含めて言う。

自分達は、自分にはあってはならない距離だから。

どれだけの想いをお互いが抱いていようと、決して今の世界では認められない関係。
耐えてきた。触れられないもどかしさに。
近づくたびにもっと傍へと願う我が儘で貪欲な自分自身に。

ここで壊せば、すべてが水の泡になってしまう。

「ここなら誰にも見られませんし、聞こえないのでしょう?」

ハッチを閉めているので此処は今一時的に所謂密室であり、幸か不幸か、通信機能はオフにしてあった。

「…それはそうですが…」

細い肩から必死で目を反らす。
白い肌を、紫の瞳を、見てはならない。

「ユフィ、分かってください…」

ユーフェミアの薄紫の瞳が悲しげに揺れる。心が痛い。

「ごめんなさい…」

その言葉にホッと息をつく間もなく、ユーフェミアは言葉を続ける。

「私…嘘をつきました」
「え?」
「さっき言ったこと、すべてが嘘ではありません。でも…」
「…でも?」
「本当はね?少しだけ……」

スザクの服を握る。

「目の前にスザクがいるのに、いつも我慢ばかり。…今だけ、ここにいる間だけ」

ユーフェミアはスザクを見上げる。

「ダメ、ですか?」

ぎゅっと。

ほとんど勢いで手の中のものを抱き込む。

「これ…で、良いですか」
「…ダメ。敬語、直してください」
「…これで満足かい?」
「さっきよりは…」
「これ以上は、止めておいた方が良いよ?」
「…嫌です」
「外でガードの人が待ってる。…途中で止められる自信ないな、あまり」
「構いません。」

はっきり言う彼女の方がよっぽど強く見えて。

「大好きです。それだけは嘘、つけませんでした」

その言葉が合図だったように、スザクは腕に力を込めた。
 

 
「ユフィ」
「ん…っ」

頬にキスをして、反対側にも同じように口づける。
時々ユーフェミアが漏らす声に煽られ、白い肌を唇でなぞる。

「ぁ……んっ」

桜色の髪にひとつ落とし、それから額に、また髪に。物欲しそうに潤う唇はわざと避けて。

十分に頬を色づかせ、それでも瞼や鼻先までしか近づかない。

そそらされる分だけじらして返す。

それの繰り返し。

「…ス……ザク…っ」

潤み出した瞳をぐっとのぞき込んだ瞬間、やっとかすめるぐらいの弱さで唇を重ねると、今度はユーフェミアから求めてくる。

「っ……んッ!」

しかし次は求められた以上に強い力で唇を奪う。

自由を奪い、呼吸さえままならなくさせると、軍人の自分などよりずっと早く息の続かなくなる彼女が肩に手を押し当て、離してほしいとせがんでくる。

「ん……んぅっ」

けれど決して逃がさない。

「…ほら……もっと……苦し、く…なるよ?」

時々瞬間唇を離し、けれどまたすぐに塞ぐ。
苦しそうに自分の名を呼ぶ声が聞きたくて。

「ス、ザ……クぅ…ぁ…っめ…ッ」
「……ふ…っ」

そろそろ限界かと思い、唇を離す代わりに細い体躯を抱きしめる。
休む間は与えないとでも言うように、熱っぽい指で輪郭を撫で、火照る肌をなぞっていく。

「…はっ……ス、ザク…」

苦しそうにしているユーフェミアの視線が睨むようだったので、スザクは耳元で囁く。

「じゃあ…ここで終わりにする?」

スザクの言葉にユーフェミアは迷わず首を横に振った。

「…分かりましたお姫様」

騎士らしく手に口づけ、褒美の様に今度は優しく、出来るだけ甘いキスを長く贈る。

大切な物の様に。

「…スザクは意地悪です。今日は特に」
「いきなりだったから、心の準備が出来てなくて」

微笑して返すと、次の瞬間にはまた唇を合わせる。

もちろんあれで終わりにするつもりなど最初から無かった。
キスをしている間に首筋のチョーカーを外し、露わになった首元に歯を突き立てる。

「ゃん…っ」

傷一つない皇女の躯に自分の跡を刻んでいく。

「……ふぁっ」

その間にも鎖骨から下へと指を這わせると、
恥ずかしさからか、徐々にユーフェミアの白い肌は薄紅色を帯び始める。

「……もっ……や…め」

耐えきれなくなったかの様に、ユーフェミアはスザクの腕から逃れようとする。
しかしその眼差しが弱々しい上目使いで、スザクは離す気など余計に失くしてしまった。

「どうして?」

顔を少し離して、見つめる時ほどの距離をとる。
くす、と小さく笑って、緩やかに伸びた髪を愛撫してやる。

「花みたいで、可愛いのに」

いつになく低い声で囁かれたスザクの言葉に、かあっ、と音を立てそうなほど上気する頬。

そこにスザクの無駄のない締まった手が添えられる。
 
「…ユフィ」

名前を呼ばれただけで心臓が張り裂けそう。

ひどく真剣な顔で距離が狭まってくる。
まるで、初めてキスをするような堅さ。

目を閉じて、肩を抱かれて。

「…ずるい」

さっきまで、あれほど手慣れた姿勢を見せていたくせに。

「……我慢してたのは自分も同じだから。これくらいで満足されたら困る。」

悪戯っぽい笑みを見せたかと思うと、ふわりと体が浮いて、シートに座ったスザクの膝の上に降ろされる。
螺旋を描く優美な髪に指先を絡めてキスをひとつ。

「もうひとときお付き合い願えますか?愛しい我が姫君」
「…迎えが来るまで、許します」

スザクはずるい。たった一言で、胸が苦しくなる。

「ありがとう」
「…ぁ」

露出されている胸元に唇を落とす。
服を着たままとはいえ、恥ずかしさでいっぱいだった。

それから足元に目がいき、乱れたドレスの裾から覗く太股にも口づける。
前から強く抱き込み、髪をかき上げて大きく開いた背中にも。
背中に慣れない生々しい感覚が走る。

「…ぅ…く……ぁんっ」

与えられる熱にとろけてしまいそう。
愛される快感が体中を駆けて支配する。

「…んんっ」

ユーフェミアの唇にスザクの人差し指が触れる。

「声、聞きたいけど静かにね。通信は切ってるけど…外に直接漏れると意味無いから…」
「…ごめん、なさい……」
「でも、手加減はしない」
「な…っ」

スザクはさらりと言い放ち、ユーフェミアの非難の目にもびくともしない。

「あぁ、出来ないの間違いだった。…ユフィだから、ね」

理性なんて効かないんだ、と言って抱きしめる腕に力を込める。

「……出来るようにしてください」
「貴女の願いでしたら尽力致します」
「もう…」

不思議とお互いどこか笑みで。

「ユフィも、こういう時敬語が抜けない癖、直ると良いのに」
「えっ?」

気付いていなかったのか、目を丸くするユーフェミアがとても愛おしく、笑みがこぼれる。

「気付いてなかった?」
「はい…。言ってくれれば」
「そのままで十分可愛いから、言わなかった」

スザクの腕の中で熱を帯びる。
ここで非難の目を向けたところでまた負けてしまうのだから、大人しく。

「……スザク」
「はい」

していようと思ったのに。

「ぇ…」

体が勝手に動いてしまった。
スザクの頬にはうっすらと淡い桃色の口紅がついている。

「…お返しです。」

短くそう言って、うつむいてしまった。
対するスザクも瞬きするだけで半ば呆然としている。

「……」

どれくらいか沈黙が流れ、やがてそれを破ったのはユーフェミアの方だった。

「…私だって、スザクが大好きです。大きな瞳も、チョコレート色の癖っ毛も、しっかりした手も、優しい笑顔も全部大好き。だから…」
「?」

「だからたまには…スザクも、ドキドキしてください」

ユーフェミアはスザクの背に手を回す。
それから少し目線の高いスザクの瞳をぐっと覗き込むように見上げて微笑んだ。

「綺麗ですね」
「え?」
「初めて会った時から、スザクの瞳は…悲しそうだったけど、とても澄んでた」

スザクの髪を柔らかく撫でる。

「この瞳に、恋をしたのかも」

気付いたのはずっと後だったから、本当のことは今となっては分からない。
分かるのは初めて目が合った時、何か感じた。ただそれだけ。

「…困ったな」
「え?」

苦笑しながらスザクはユーフェミアの髪を指にかけて引いた。

「だから言わなかったのに」

罪を認めるように、そっと目を伏せる。
 
「君は…」

いつからと問われれば、それこそ初めて出会ったあの時から。

「俺には甘すぎる」

遠くから眺める度に、騎士として隣に立つ度に、花の香りに酔っていた。

甘い甘い匂いに惹かれ、惑わされる。
まるで花の蜜を求め彷徨う愚かな蝶。

触れたくて、抱きしめたくて、たまに見せつけてやりたい衝動にも駆られた。

この高貴な花に群がる蝶は腐るほどいる。

その中で、唯一降り立つことを許されたのは俺だけだと。
俺だけが味わうことを許された花なのだと。

どろどろと渦巻く醜い想い。
それは越えてはならない透明な境界線。

浅はかな蝶たちの汚い欲を見た途端、この無垢な花は散ってしまうかもしれない。

「…スザク?」

普通の女の子と何も変わらない無邪気な笑顔。崩した言葉遣い。

俺の元でだけ、咲いていればいい。

「ユフィ」
「?」
「少し、我慢して」

あぁ、なんて醜い気持ち。君には毒気が強すぎる?

「ぅん、ん……っ!」

唇を噛むように塞いで、こじ開ける。
それから舌を侵入させ、口腔を探るように舌先で撫でる。

「ふぁっ……んふ…ッ!」

初めての感覚にユーフェミアは焦る。

自分の中を覗かれているようだが、呼吸が苦しいだけで不思議と気持ち悪くはない。
舌を絡まされ、絞られるようにその力は強い。

数十秒に渡って継続したその行為も、ようやく解放された。

「…ん……はっ、はぁ…はぁ…っ」

息が乱れ、肩が大きく上下する。
意識まで朦朧としてきて、ぼんやりとスザクを見上げると、彼も少し苦しそうだった。

ゆらりと目の前が揺れて、ユーフェミアはスザクの方に倒れ込んだ。

「……無茶、させてごめん」

喋る気力までも奪ってしまったのか、抱きとめたユーフェミアから返事はない。
静かな呼吸で返事をする彼女の頭に手を置いて、眠れない子供をあやすように撫でる。

「…気付いて欲しくなかった、けど」

透明な境界線の、汚れた色。
隠すには、俺の理性は脆すぎた。こうも容易く、越えてしまうなんて。

傷つけようとする他者から君を守るのが、俺の役目なのに。

「ごめん、ユフィ。…傷つけて」

ひらひらと舞う蝶たちは、こんなに醜く浅ましい。

知ってほしくなかった。知らせたかった。

あんまりにも無防備だと、君が危ないってこと。


それを建前にした……―俺の汚い心―……


「……何故、謝るの?」
「ユフィ?起きて、」
「スザクが謝る理由を聞いてるの」

俯いたユーフェミアの表情は見れない。
ただ、口調は怒っているように厳しい。

「…それは」

今まで普通のキス程度で抑えていた感情を、見せてしまったから。


汚い独占欲。


俺自身の醜さに気付かせてしまったから。

「………俺はユフィが思ってるより、ずっとずっと汚いから」

学校に行っている間、特派で働いている間。
戦いに身を投じている間ですら、俺の頭は、身体は、いつもユフィを探している。

いつも傍にいたい。許されない。この手だけに収めていたい。許されない。

そんな欲と理性がせめぎ合う。

傷つけたくなかった。その一心だった。
この人は、唯一俺の存在を許してくれた人だから。役割を、居場所をくれた人だから。

蔑むこともなく、対等に接してくれた人。

大切にしたかった。純粋な心を踏みにじるなんて出来なかった。
望みはただひとつ。許されただけ、傍で守りたい。それだけだったのに。

それなのに。

「ごめん」
「……どうして」

スザクが謝るの。

「俺は、ユフィ、君の隣には相応しくないんだ」

今だって頭の隅で、外で彼女の帰りを待つボディガードの女性がこの密室を壊してはくれないかと望んでる。

こんな行為をしていたのが公になれば、自分は間違いなく裁かれるだろうけど。

同時に、群がる蝶たちにも見せつけられる。思い知らせてやれる。

ほら、こんなに醜いんだよ俺は。
君の迷惑ですら考えない。

君の瞳に、どんなに優しく映っていても、所詮はマヤカシ。幻想なんだ。


「…それは、誰が決めるんですか」


ユーフェミアは珍しく口調を荒げた。

「貴方?私?周りの人間?…そんなの、いらないです」

周囲の人間の評価なんていらない。

皆、平気でスザクを傷つける人ばかり。土足で踏みにじって。

スザクだって、傷つく。そんな簡単なことが分からない人ばかり。

「私の瞳には、ちゃんとスザクが映っています。それが真実でしょう?」

ちゃんとこの瞳で、貴方を見ているのに。

イレブンもブリタニア人も関係ない。誰もがスザクの日本人としての立場や過去、騎士としての資格ばかり気に留めて。
決して”スザク”自身を見ようとはしない。

そんな言葉に、貴方は揺らぐの?

「私が貴方に隣にいてほしいだけなのに、どうしてスザクが咎められるの?」

顔を上げたユーフェミアの瞳は、強い光を宿している。

「誰が何を言おうと、私はスザクの隣を譲りません。貴方が嫌だと言う日まで。」

そんな日が来ないことを願うだけ。兄や姉が、国民が、他の誰が何を言おうと、譲るつもりは毛頭ない。

スザクの傍にいたい。誰よりも近くで、一緒に生きていたい。

そのためなら、自分はどんなことだって頑張れる。

「きっと、スザクが思ってるよりずっと、頑固ですよ。私。」

だから、だからねスザク。
そんな瞳をしないで。

「だからスザク、ただ、貴方の傍に」

そんな哀しい瞳で、私を見ないで。

そう言って、ユフィはスザクをただギュッと抱きしめた。
 
「ただ傍にいたい。…それじゃあダメ?」
「!」

見上げたユフィは少し頬を染めていた。

「スザクのことが知りたい。スザクに会いたい。スザクの声が聞きたい。こうやって触れ合って、抱きしめてほしい。…私だってそう思います」
「でも、俺は…!」

「だって好きなんです。…当たり前のことでしょう?」

「………」

ユフィの言葉は、どうして俺の心を容易く解いてしまうんだろう。

「それを咎める権利は誰にも無いです。たとえ、許されない立場だったとしても」

どうしていつも、こんなにもあっさりと胸を軽くしてくれるんだろう。

時が経てば経つほど想いは募って、潰れそうになるぐらい心を占領する。
やり場のない欲望が君を傷つけてしまわないように振る舞う毎日。
けれど時にこうして限界がやってきて、理性さえも簡単にぶち壊して。

禁じられていることは解りきっていたのに。

「俺はそれでも…傷つけたくない…」

一言嫌だと告げられたなら、どんなに楽だと思ったことか。

それでもただ、拒絶されることが恐くて。
そんなマヤカシの解放よりも、俺が求めたのは君の方。

「傷ついたりしません。その想いは、スザクにされて嫌なことではないもの」

溢れ出しそうになるこの醜い気持ちをもう一度押さえ込んで。君がいつも、浄化してくれる。

すべては幻のくせに、ただ純粋に君を求めていたみたいに。
自分の醜さを思い知らされて、うちひしがれて。
それで終わればいい。諦めていればいいくせに。

それでも止められない想いが俺を支配する。

「嫌なら騎士に任じたりしません。今だって、逃げだしてます。」

ドロドロと溶けていく世界の中で、延びてくる一筋の希望(ヒカリ)

「でも私は、ここにいるでしょう?」

何度でも、俺をそこからすくいあげる君を。

「………」
「…スザク…?」

「…ありがとう、ユフィ」

汚してしまいたいなんて、もう二度と。

「…手放したくないのは、私だって同じです」

そう小さく囁く君の言葉。


近づくことさえ許されなければ。


「私の騎士、スザク。」


神に誓えれば良かったのに。



そうしてまた、この甘美に酔ってしまうのだから、


俺はどこまでも愚かなんだ。


「自分を責めないで、嫌いになったりしないで。」


求めているのは私も同じ。


「…良いんですね?」

「迎えがくるまで、の約束ですよ」


甘い薔薇の蜜に酔いしれる。


だって泣きたくなるぐらい、君が愛しいから。


「…仰せのままに」

そう嗤って、


ビロードのドレスに手をかける。





【別解釈(ユフィside)】


私の持っている、見えない透明な境界線。

世界の3分の1を占める神聖ブリタニア帝国、第三皇女。
そしてエリア11副総督の肩書き。

貴方を縛る、私の権力。

貴方の立つ場所に一歩近づくことすら出来ないほど重荷になりすぎて。
けれど皇女でなければ、副総督でなければ貴方と出会うことはまず無かった。

出会えた運命。傍にいてくれる幸せ。私を好きになってくれた奇跡。

たくさんのモノをくれたはずの力が、今になって酷く重い。

ただ一人の人間の傍にいるには、なんて力無いものになってしまうの?
どこまで行っても“貴方と私”は“騎士と皇女”。


――ただ、お兄様の傍にいられれば、それだけで私は……


「ナナリー…」
「え?」

…足枷に過ぎないと嘆くには、まだ早い。

「スザク」
「はい」

「もう一度」

ユフィはスザクを解放して真っ直ぐにその瞳を見た。

「もう一度私に、頑張る勇気をください」

戦争の無い世界。
大切なものを失わなくて済む世界。

「見つけました」

彼女の瞳は、決意に満ちている。

「何を、ですか?」

ユフィはその華やかな笑顔を向けた。


「良い方法、思いついちゃった!」


「?」
「付いてきてください、スザク!」

握手を求める形で手を差し出す。



造りましょう。

貴方の隣にいられる世界を。



「貴女が導いてくださるのなら」

スザクはその手に口づけた。


どこまでもお守り致します、マイ・ロード。



fin.
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HN:
黒峰澄
HP:
性別:
女性
自己紹介:
絵とか文とかお題とか創作してる節操なし。狭く浅く手を出しています。
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