管理人黒峰の日々の徒然。
主に視聴アニメやらでの叫びなど。なんだかんだうだうだ言ったり空元気でテンション高かったり色々!
タイトル通り、バレンタイン前日の騎士姫話です。
(サイト閉鎖に伴い、加筆修正した上での再掲載になります※加筆修正2011/2/10)
生徒会メンバーとのドタバタ要素もあるので、お遊び的にフォントを携帯小説風に弄ったりしています(太字や記号の使用、色変えなど)。
騎士姫のターンでは緩和されていますが、苦手な方もいらっしゃるかと思いますのでご注意ください。
ちなみにルルとユフィは既に顔合わせしています。スザクも承知済み。
スクラン以来のギャグが書けて楽しかった!(´∀`)
(サイト閉鎖に伴い、加筆修正した上での再掲載になります※加筆修正2011/2/10)
生徒会メンバーとのドタバタ要素もあるので、お遊び的にフォントを携帯小説風に弄ったりしています(太字や記号の使用、色変えなど)。
騎士姫のターンでは緩和されていますが、苦手な方もいらっしゃるかと思いますのでご注意ください。
ちなみにルルとユフィは既に顔合わせしています。スザクも承知済み。
スクラン以来のギャグが書けて楽しかった!(´∀`)
学校中がなんだか浮き足立ってそわそわしている2月の半ば。
一日の終業のベルとほぼ同時に教室の扉は破られた。
「ルルーシュ!スザク!」
「会長?」
「どうしたんですか、こんなところまで」
大声で名指しされたルルーシュとスザクは驚いてそちらを向く。
声の主はミレイ・アッシュフォード。
先輩である彼女がこの教室を訪れるのはあまり頻繁ではない。
「んー?ちょっとシャーリーとカレンを狩りに……借りにね♪」
「本音が漏れてますよ、会長。」
「あはは、気のせいよ♪気・の・せ・い!」
そう言って彼女にウィンクされてしまうと何も言えなくなってしまう。
「…ってそこ!カレン!逃げようとしたって無駄よ!」
「ぎくっ;;」
面倒に巻き込まれそうな予感がしたカレンは、こっそり教室の後ろの扉から抜け出そうとしていた。
しかし彼女の勘は外れていなかったわけだが。
「帰れると思ったら大間違い!…シャーリー!」
「はいっ!?」
逃げ出すわけではなく、とりあえずその場を見守っていたシャーリーの肩をがっちり掴んで、至極楽しそうな笑みを浮かべるミレイ。
「さて問題です。明日は何の日でしょう?はい、3秒以内に答えるっ♪」
「え?!え、えーっと……バレンタイン、ですか…?」
「はーい、大正解~っ!」
恐る恐る答えたシャーリーにミレイは惜しみない賞賛の拍手を送る。
「さぁ!やるわよ!アッシュフォード学園生徒会主催、バレンタイン祭!!」
「「えぇ~っ!?」」
*バレンタイン・イヴ・クライシス*
「あ、明日って…ちょっと急すぎるんじゃないですか会長;!?」
「チョコレートぐらい、一日でパッと作って、パッと渡せるでしょ?平気、平気!♪」
満足そうな笑顔で圧してくる彼女に、かけるブレーキはない。
「いや、だからって、いくらなんでも…」
「予算とかどうするんです?ちゃんとその辺も計算して」
「あるわよ副会長、もちろん!」
皆がうろたえる中で、冷静な意見をするルルーシュにも彼女は得意気に答えた。
「健全な高校生たるもの!この手の恋愛イベントは押さえとかなきゃ!」
「会長…あげる相手いるんですか;?」
「さぁね♪でもイベントは乗っかってこそ!でなきゃ、つまんないでしょっ?」
「はぁ……」
エンジン全開のミレイ。
しかし、途端に神妙な面持ちを見せる。
「でもさぁ?この手の企画って色々思いついちゃって……。一人じゃ決められなかったのよねぇ」
「と言うと?」
「探せ!(大量生産)義理チョコ❤学園☆争奪戦!!とかあの子の本命チョコはどれ!?ロシアンルーレット大会!!とか」
「争奪戦が見たいんですか?会長…;;」
「本式に則って男女逆転祭り☆INバレンタインとか」
「それってどこが本式に則ってるんですか;?」
「女子じゃなくって、男子が作るのよ。チョコ。一度はあのドキドキを味わってみたいかな~と思ってv」
「それも本式じゃないような……男性があげるのって、花束が定番では?」
「それじゃ面白くないじゃない!男子の作るチョコのセンスが見たいのよ!…味は保証出来ないけどね」
小声でさらりと酷いことを言ったような気もするが、誰も言及する気にはならなかった。
「ハロウィン風に、お返しくれなきゃチョコあげないぞ☆バレンタウィンとかも考えたんだけど」
「ホワイトデーを早めたようなものでは…?」
「せっかくイレブンにいるんだから、やっぱりスタンダードに行くべきか…でも面白そうなのよねぇ」
悩ましげなミレイの唇から零れた悩みは、碌なものではなかった。
「というわけで!今から皆で一緒に考えましょ♪ニーナはもう待たせてあるし」
いつのまにかシャーリーだけでなく、ミレイのその手にはガッチリとカレンの手も握られていた。
「尚、男子の意見は今回は聞かないからv」
「え?」
「というわけでルルーシュ!スザク!明日まで生徒会室は立ち入り禁止ね♪」
「はぁ…分かりました;」
「大丈夫!絶対面白い企画にしてあげるから!」
「じゃあね♪」とシャーリーと渋々な顔をしたカレンを引き連れて出て行くミレイ。
彼女を止める術は誰も持っていなかった。
「会長……完全に俺も此処にいること無視してたよな……」
皆が明日の我が身を不安視するのに対し、
その背を寂しそうに見送ったのはリヴァルであった。
一日の終業のベルとほぼ同時に教室の扉は破られた。
「ルルーシュ!スザク!」
「会長?」
「どうしたんですか、こんなところまで」
大声で名指しされたルルーシュとスザクは驚いてそちらを向く。
声の主はミレイ・アッシュフォード。
先輩である彼女がこの教室を訪れるのはあまり頻繁ではない。
「んー?ちょっとシャーリーとカレンを狩りに……借りにね♪」
「本音が漏れてますよ、会長。」
「あはは、気のせいよ♪気・の・せ・い!」
そう言って彼女にウィンクされてしまうと何も言えなくなってしまう。
「…ってそこ!カレン!逃げようとしたって無駄よ!」
「ぎくっ;;」
面倒に巻き込まれそうな予感がしたカレンは、こっそり教室の後ろの扉から抜け出そうとしていた。
しかし彼女の勘は外れていなかったわけだが。
「帰れると思ったら大間違い!…シャーリー!」
「はいっ!?」
逃げ出すわけではなく、とりあえずその場を見守っていたシャーリーの肩をがっちり掴んで、至極楽しそうな笑みを浮かべるミレイ。
「さて問題です。明日は何の日でしょう?はい、3秒以内に答えるっ♪」
「え?!え、えーっと……バレンタイン、ですか…?」
「はーい、大正解~っ!」
恐る恐る答えたシャーリーにミレイは惜しみない賞賛の拍手を送る。
「さぁ!やるわよ!アッシュフォード学園生徒会主催、バレンタイン祭!!」
「「えぇ~っ!?」」
*バレンタイン・イヴ・クライシス*
「あ、明日って…ちょっと急すぎるんじゃないですか会長;!?」
「チョコレートぐらい、一日でパッと作って、パッと渡せるでしょ?平気、平気!♪」
満足そうな笑顔で圧してくる彼女に、かけるブレーキはない。
「いや、だからって、いくらなんでも…」
「予算とかどうするんです?ちゃんとその辺も計算して」
「あるわよ副会長、もちろん!」
皆がうろたえる中で、冷静な意見をするルルーシュにも彼女は得意気に答えた。
「健全な高校生たるもの!この手の恋愛イベントは押さえとかなきゃ!」
「会長…あげる相手いるんですか;?」
「さぁね♪でもイベントは乗っかってこそ!でなきゃ、つまんないでしょっ?」
「はぁ……」
エンジン全開のミレイ。
しかし、途端に神妙な面持ちを見せる。
「でもさぁ?この手の企画って色々思いついちゃって……。一人じゃ決められなかったのよねぇ」
「と言うと?」
「探せ!(大量生産)義理チョコ❤学園☆争奪戦!!とかあの子の本命チョコはどれ!?ロシアンルーレット大会!!とか」
「争奪戦が見たいんですか?会長…;;」
「本式に則って男女逆転祭り☆INバレンタインとか」
「それってどこが本式に則ってるんですか;?」
「女子じゃなくって、男子が作るのよ。チョコ。一度はあのドキドキを味わってみたいかな~と思ってv」
「それも本式じゃないような……男性があげるのって、花束が定番では?」
「それじゃ面白くないじゃない!男子の作るチョコのセンスが見たいのよ!…味は保証出来ないけどね」
小声でさらりと酷いことを言ったような気もするが、誰も言及する気にはならなかった。
「ハロウィン風に、お返しくれなきゃチョコあげないぞ☆バレンタウィンとかも考えたんだけど」
「ホワイトデーを早めたようなものでは…?」
「せっかくイレブンにいるんだから、やっぱりスタンダードに行くべきか…でも面白そうなのよねぇ」
悩ましげなミレイの唇から零れた悩みは、碌なものではなかった。
「というわけで!今から皆で一緒に考えましょ♪ニーナはもう待たせてあるし」
いつのまにかシャーリーだけでなく、ミレイのその手にはガッチリとカレンの手も握られていた。
「尚、男子の意見は今回は聞かないからv」
「え?」
「というわけでルルーシュ!スザク!明日まで生徒会室は立ち入り禁止ね♪」
「はぁ…分かりました;」
「大丈夫!絶対面白い企画にしてあげるから!」
「じゃあね♪」とシャーリーと渋々な顔をしたカレンを引き連れて出て行くミレイ。
彼女を止める術は誰も持っていなかった。
「会長……完全に俺も此処にいること無視してたよな……」
皆が明日の我が身を不安視するのに対し、
その背を寂しそうに見送ったのはリヴァルであった。
「これからどうしようかな……」
一人で廊下を歩いているスザクは、小さく溜息をついた。
『只今緊急会議中につき立ち入り禁止!特に男子禁制!!』
まるで女子寮みたいな張り紙の貼られた生徒会室のドアの前を横切る。
生徒会長ミレイ・アッシュフォードの急な思いつきで、ついさっき下された命令である。
もちろん生徒会役員である自分も例外ではない。
『覗き厳禁!立ち聞き言語道断!明日のチョコ生命は無いと思いなさい!by生徒会女子一同♪』
さっきの文章の下に付け加えられてあるご丁寧な忠告文を見ては、立ち止まることも許されない。
スザク自身、別にそこまでチョコが欲しい訳でもないが、何か言い知れぬ圧力がその文字の並びからひしひしと伝わってくるのである。
しかし実際ここまで徹底した忠告を見ると、既に前例があったのかもしれない。
よくは分からないが、確かにこの学園の生徒会役員を務める女子達は他の生徒からの人気も厚いらしい。
チョコを欲しがる生徒が多くても不思議ではなかった。
「ルルーシュ…大丈夫かなぁ?」
あまり体力勝負の得意でない友人を心配した。
先程まで教室で一緒にいたのだが、急に生徒会業務がオフになったこともあって、一足先にとチョコレートを抱えた大勢の女子達に追い詰められたあげく、逃げるハメになっている。
リヴァルによると、去年のルルーシュはバレンタイン当日に学校を欠席し、多くの女子が落胆したのだとか。
前日だと思って油断していたルルーシュを捕らえる作戦に出たのだろう、と分析していた。
「全部は無理かもしれないけど、受け取ってあげればいいのに」
本人にとってはその選別が悩みのタネなのかもしれないが、まるごと無視してしまうのも釈然としない。
真剣な想いを抱いている子は少なくないのだろうから。
とはいえ、血眼になって自分めがけて突進してくる大勢の女子を受け止めろ、というのも酷な話ではあるが。
「…どうしよう」
今頃全力疾走しているであろう親友と違って、自分の周りはいたって平穏なものだ。
今日は軍の仕事も、緊急が入らない限りはオフということになっている。
代わりにあると思っていた生徒会業務も無し。
ルルーシュは逃走中だし、リヴァルは何やら明日の準備がどうと言って買い物に出てしまった。
つまり、突然スザクは暇になってしまったのだった。
「…って……………ル……シュ…!」
(女の子の声………ルルーシュ?)
微かながらに女生徒らしき声とルルーシュの名前が聞こえた。
声がする方へと足を運ぶ。
「……帰るんだ!…もし……たら…どうなると思って…」
「……大丈夫……です………帰りますから……」
ルルーシュらしき声もする。何やら揉めているらしい。
おおかたルルーシュを捉まえることに成功した女子とトラブルになっているのだろう。
そう思って廊下を曲がると、声を潜めて怒鳴るルルーシュと、
「分かったら帰るんだ、ユフィ!」
「ユフィ…!?」
「え?…スザク!?」
振り返った女性、この学園の制服を身に纏ったユーフェミアがそこにいた。
「何で…こんなところにユフ…あ、いや、皇女殿下が」
「えっと…」
「スザク、今はその呼び方はまずい」
わざわざ言い直したが、よく考えればそういう状況だった。
「というかルルーシュ、君も何で……追われていたはずじゃ」
「「…ルルーシュく~ん!!?」」
「今も追われてるよ…」
「そんな悠長に言ってる場合じゃないだろ?早くここを離れないと…ユフィも」
「あ……」
「……………」
どの道を行くか迷っていると、とん、と背中を押された。
「俺が囮になって引きつける。ユフィ、スザクの傍を離れるなよ」
「なッ!?それじゃあ君が…!」
「たかが女子数人だ。それに、元々追われてるのは俺だしな」
ルルーシュは苦笑してみせる。
「ルルーシュ……」
「ユフィ、ありがとう。無茶は頂けないが……嬉しかった。」
ルルーシュの指が、ふと二人の行き先を示す。普段はあまり使われていない空き教室だった。
「騎士らしく、妹を守ってやってくれ。スザク」
そう言って、ルルーシュは廊下の向こうに消えてしまった。
一人で廊下を歩いているスザクは、小さく溜息をついた。
『只今緊急会議中につき立ち入り禁止!特に男子禁制!!』
まるで女子寮みたいな張り紙の貼られた生徒会室のドアの前を横切る。
生徒会長ミレイ・アッシュフォードの急な思いつきで、ついさっき下された命令である。
もちろん生徒会役員である自分も例外ではない。
『覗き厳禁!立ち聞き言語道断!明日のチョコ生命は無いと思いなさい!by生徒会女子一同♪』
さっきの文章の下に付け加えられてあるご丁寧な忠告文を見ては、立ち止まることも許されない。
スザク自身、別にそこまでチョコが欲しい訳でもないが、何か言い知れぬ圧力がその文字の並びからひしひしと伝わってくるのである。
しかし実際ここまで徹底した忠告を見ると、既に前例があったのかもしれない。
よくは分からないが、確かにこの学園の生徒会役員を務める女子達は他の生徒からの人気も厚いらしい。
チョコを欲しがる生徒が多くても不思議ではなかった。
「ルルーシュ…大丈夫かなぁ?」
あまり体力勝負の得意でない友人を心配した。
先程まで教室で一緒にいたのだが、急に生徒会業務がオフになったこともあって、一足先にとチョコレートを抱えた大勢の女子達に追い詰められたあげく、逃げるハメになっている。
リヴァルによると、去年のルルーシュはバレンタイン当日に学校を欠席し、多くの女子が落胆したのだとか。
前日だと思って油断していたルルーシュを捕らえる作戦に出たのだろう、と分析していた。
「全部は無理かもしれないけど、受け取ってあげればいいのに」
本人にとってはその選別が悩みのタネなのかもしれないが、まるごと無視してしまうのも釈然としない。
真剣な想いを抱いている子は少なくないのだろうから。
とはいえ、血眼になって自分めがけて突進してくる大勢の女子を受け止めろ、というのも酷な話ではあるが。
「…どうしよう」
今頃全力疾走しているであろう親友と違って、自分の周りはいたって平穏なものだ。
今日は軍の仕事も、緊急が入らない限りはオフということになっている。
代わりにあると思っていた生徒会業務も無し。
ルルーシュは逃走中だし、リヴァルは何やら明日の準備がどうと言って買い物に出てしまった。
つまり、突然スザクは暇になってしまったのだった。
「…って……………ル……シュ…!」
(女の子の声………ルルーシュ?)
微かながらに女生徒らしき声とルルーシュの名前が聞こえた。
声がする方へと足を運ぶ。
「……帰るんだ!…もし……たら…どうなると思って…」
「……大丈夫……です………帰りますから……」
ルルーシュらしき声もする。何やら揉めているらしい。
おおかたルルーシュを捉まえることに成功した女子とトラブルになっているのだろう。
そう思って廊下を曲がると、声を潜めて怒鳴るルルーシュと、
「分かったら帰るんだ、ユフィ!」
「ユフィ…!?」
「え?…スザク!?」
振り返った女性、この学園の制服を身に纏ったユーフェミアがそこにいた。
「何で…こんなところにユフ…あ、いや、皇女殿下が」
「えっと…」
「スザク、今はその呼び方はまずい」
わざわざ言い直したが、よく考えればそういう状況だった。
「というかルルーシュ、君も何で……追われていたはずじゃ」
「「…ルルーシュく~ん!!?」」
「今も追われてるよ…」
「そんな悠長に言ってる場合じゃないだろ?早くここを離れないと…ユフィも」
「あ……」
「……………」
どの道を行くか迷っていると、とん、と背中を押された。
「俺が囮になって引きつける。ユフィ、スザクの傍を離れるなよ」
「なッ!?それじゃあ君が…!」
「たかが女子数人だ。それに、元々追われてるのは俺だしな」
ルルーシュは苦笑してみせる。
「ルルーシュ……」
「ユフィ、ありがとう。無茶は頂けないが……嬉しかった。」
ルルーシュの指が、ふと二人の行き先を示す。普段はあまり使われていない空き教室だった。
「騎士らしく、妹を守ってやってくれ。スザク」
そう言って、ルルーシュは廊下の向こうに消えてしまった。
「ひとまず安心……かな?」
ルルーシュに言われた通り、人気の無い教室にとりあえず身を隠した二人。
しかし完璧に安全とは言えない。
女生徒達は人探しをしているのだから、この教室を探しに来てもおかしくはないのだ。
けれど廊下の気配を確認したスザクの頭には、もっと大事なことがあった。
「ユフィ…何で此処に?」
「それは……その」
言い辛そうにしているユフィを追及するつもりが、申し訳無さそうにこちらを窺う彼女を見ては、強気に出ることも出来なかった。
「………護衛は?」
「ルルーシュに会わせるわけにはいかなかったので…途中で振り切ってきちゃいました;」
「…ということは」
学園の生徒の他に、彼女の護衛たちも人探しをしているというわけだ。
「どうしてこんな危険な真似をしたんだい?ルルーシュに逢うため?」
「軽率だということは重々承知しています。ごめんなさい。」
「それもあるけど…」
苦々しい顔をして、重い息を吐き出しながらスザクは続ける。
「もし万が一、ユフィ、君に何かあったらどうするつもりだった?…俺はどうしたらいい?」
「あ……」
ユフィの肩に縋るスザクの顔は、真剣そのもの。
嫌な汗まで額に浮かべた、心底自分の身を案じているものだった。
「…ごめんなさい」
「もう副総督として君の顔を知っている生徒も大勢いるんだ。騒ぎになる可能性は十分ある」
「はい」
「もしそれで君が怪我をしたら?何かに巻き込まれでもしたら?」
肩を掴んだ手に、力が込められる。
「こんな真似、二度としないって約束するんだ」
「……はい」
「約束したよ?」
ユフィが頷いたのを見て、スザクは手を放して表情を緩めた。
「そんなことにならないように、僕や他の護衛の人たちがいるんだ。…もう少し、頼ってほしいな」
「……はい。ごめんなさい、スザク」
安堵したように、ユフィにも笑顔が戻った。
「ルルーシュに逢いたかったなら、先に僕を呼んでくれたらもっとスムーズにいったのに」
「…スザクを探していたんですけど、先にルルーシュを見かけたので……まさか追いかけられているとは思わなかったけど」
「まさか、見つかって!?」
「いえ、ちゃんとルルーシュが振り切ったところを見計らって声をかけて…すごく怒られました」
「だろうね」
あまり怒ったところを見ない親友の表情を想像して、スザクは表情を緩める。
「前日だから大丈夫かと思ったのに…びっくりしました」
「前日?」
「バレンタインですよ、明日。忘れてたんですか?」
ちょっぴり拗ねた風に訊くユフィ。
対するスザクは、さっきまであれ程の騒ぎがあったのに、すっかり忘れていた自分に驚いた。
「それで、大丈夫って?」
「これを…」
「!!!」
声にこそ出さなかったが、さっきの比にもならない程に、自分でも驚くぐらいスザクは盛大に驚いた。
ユフィの持っていた学生鞄から取り出されたのは、可愛らしいリボンでラッピングされた小さな箱。
いつも彼女が着ている皇族服に合わせた、ピンクの薔薇の飾りもあしらわれている。
「これを渡そうと思って、忍び込んだんです」
「そ、それは……!」
「チョコレートですよ。…ルルーシュに渡すには、誰にも頼めなかったので……」
「あぁ、それでユフィが直接……」
スザクは彼女の行動に合点がいったと同時に肩を落とした。
高嶺の花、雲の上の存在であるユフィからバレンタインのチョコをもらえるとは、あまり考えていなかった。
正直に言うと、やはり好意を寄せる女性。
少し期待したりもしてしまったのだが、騎士への贈り物にするには随分高い壁がある。
それがまさか実現されようとして、その淡い期待は目の前であっけなく砕け散ったのだ。
彼女の目的はあくまでルルーシュであり、自分ではない。
それがこんなにも重く圧し掛かろうとは。
「……ということは、それはルルーシュに…?」
「はい!」
「そうか…」
なんだかとても寂しいものがスザクの胸を占めた。
これが何なのかは、分かっているつもりだ。
けれど、彼女の嬉しそうな笑顔を見て、このわだかまりを吐き出すことは出来ない。
(“騎士らしく”、妹を守ってやってくれ……か、………)
「…ユフィ、それ、僕でよければルルーシュに…」
「……どこに…行ったのかしら?」
「こっちの方で…見たって……」
「!ユフィ、こっち!」
「え!?」
ルルーシュに言われた通り、人気の無い教室にとりあえず身を隠した二人。
しかし完璧に安全とは言えない。
女生徒達は人探しをしているのだから、この教室を探しに来てもおかしくはないのだ。
けれど廊下の気配を確認したスザクの頭には、もっと大事なことがあった。
「ユフィ…何で此処に?」
「それは……その」
言い辛そうにしているユフィを追及するつもりが、申し訳無さそうにこちらを窺う彼女を見ては、強気に出ることも出来なかった。
「………護衛は?」
「ルルーシュに会わせるわけにはいかなかったので…途中で振り切ってきちゃいました;」
「…ということは」
学園の生徒の他に、彼女の護衛たちも人探しをしているというわけだ。
「どうしてこんな危険な真似をしたんだい?ルルーシュに逢うため?」
「軽率だということは重々承知しています。ごめんなさい。」
「それもあるけど…」
苦々しい顔をして、重い息を吐き出しながらスザクは続ける。
「もし万が一、ユフィ、君に何かあったらどうするつもりだった?…俺はどうしたらいい?」
「あ……」
ユフィの肩に縋るスザクの顔は、真剣そのもの。
嫌な汗まで額に浮かべた、心底自分の身を案じているものだった。
「…ごめんなさい」
「もう副総督として君の顔を知っている生徒も大勢いるんだ。騒ぎになる可能性は十分ある」
「はい」
「もしそれで君が怪我をしたら?何かに巻き込まれでもしたら?」
肩を掴んだ手に、力が込められる。
「こんな真似、二度としないって約束するんだ」
「……はい」
「約束したよ?」
ユフィが頷いたのを見て、スザクは手を放して表情を緩めた。
「そんなことにならないように、僕や他の護衛の人たちがいるんだ。…もう少し、頼ってほしいな」
「……はい。ごめんなさい、スザク」
安堵したように、ユフィにも笑顔が戻った。
「ルルーシュに逢いたかったなら、先に僕を呼んでくれたらもっとスムーズにいったのに」
「…スザクを探していたんですけど、先にルルーシュを見かけたので……まさか追いかけられているとは思わなかったけど」
「まさか、見つかって!?」
「いえ、ちゃんとルルーシュが振り切ったところを見計らって声をかけて…すごく怒られました」
「だろうね」
あまり怒ったところを見ない親友の表情を想像して、スザクは表情を緩める。
「前日だから大丈夫かと思ったのに…びっくりしました」
「前日?」
「バレンタインですよ、明日。忘れてたんですか?」
ちょっぴり拗ねた風に訊くユフィ。
対するスザクは、さっきまであれ程の騒ぎがあったのに、すっかり忘れていた自分に驚いた。
「それで、大丈夫って?」
「これを…」
「!!!」
声にこそ出さなかったが、さっきの比にもならない程に、自分でも驚くぐらいスザクは盛大に驚いた。
ユフィの持っていた学生鞄から取り出されたのは、可愛らしいリボンでラッピングされた小さな箱。
いつも彼女が着ている皇族服に合わせた、ピンクの薔薇の飾りもあしらわれている。
「これを渡そうと思って、忍び込んだんです」
「そ、それは……!」
「チョコレートですよ。…ルルーシュに渡すには、誰にも頼めなかったので……」
「あぁ、それでユフィが直接……」
スザクは彼女の行動に合点がいったと同時に肩を落とした。
高嶺の花、雲の上の存在であるユフィからバレンタインのチョコをもらえるとは、あまり考えていなかった。
正直に言うと、やはり好意を寄せる女性。
少し期待したりもしてしまったのだが、騎士への贈り物にするには随分高い壁がある。
それがまさか実現されようとして、その淡い期待は目の前であっけなく砕け散ったのだ。
彼女の目的はあくまでルルーシュであり、自分ではない。
それがこんなにも重く圧し掛かろうとは。
「……ということは、それはルルーシュに…?」
「はい!」
「そうか…」
なんだかとても寂しいものがスザクの胸を占めた。
これが何なのかは、分かっているつもりだ。
けれど、彼女の嬉しそうな笑顔を見て、このわだかまりを吐き出すことは出来ない。
(“騎士らしく”、妹を守ってやってくれ……か、………)
「…ユフィ、それ、僕でよければルルーシュに…」
「……どこに…行ったのかしら?」
「こっちの方で…見たって……」
「!ユフィ、こっち!」
「え!?」
遠くで声が聞こえる。
その会話だけではルルーシュのファンなのか、ユフィの護衛なのかは分からない。
どちらか分からない以上、とにかく見つかるわけにはいかなかった。
スザクは咄嗟にユフィを引っ張って隠す。
「この教室は…?」
「開けてみる?」
「ユフィ、少しの間…我慢して」
「あ、はい……//」
ガラリ、扉の開く音。
二人が身を潜めたのは机の下のスペース。息を押し殺して、過ぎ去るのを待つ。
「誰もいないね」
「この教室、使ってないもの」
「そうだね、行こうか」
ピシャリ。
どうやらルルーシュのファンだったらしい女生徒が扉を閉める。
それからどれくらいの時間が過ぎただろうか、再び廊下に静けさが戻り、たまらずに大きく息をするユフィ。
「…行ったみたいだ」
「あの……スザク?」
「うん?」
「ちょっと…苦しいです。;///」
狭いスペースに押し込められたユフィの訴えでようやく気付く。
ほぼ密着状態であったことに。
「あ、わ、ごめんっ;!///」
「い、いえっ、助かりました///」
急いで机の下から抜け出し、スザクはユフィに手を貸す。
「………その」
沈黙になるかと思いきや、意外にもユフィは言葉を続けた。
「このチョコなんですけど」
「あ、あぁ、うん」
「スザクがよければで良いんですけど…」
「良いよ、僕でよければルルーシュに渡しておく」
「ルルーシュには、もう渡しましたよ?」
「え?」
思考が一瞬停止した。
てっきり目の前の包みはルルーシュ宛で、渡す時間がなかった(あるいは怒っていて受け取ってもらえなかった)のだと思っていたのに。
既にルルーシュには渡してきたと彼女は言う。
そうか、彼が別れ際に言った「嬉しかった」とは単に逢えたからだけでなく、チョコをもらったからなのか。
そこまで辿り着いて、ようやくスザクの頭はゆるゆると動き出した。
「……では、一体これは誰の…;?」
「スザクのですよ?」
「…………本当に?」
「嘘なんてつきません。正真正銘、スザクの分です!」
ユフィのさも当たり前のようにサラリと口にされた言葉で、一瞬にして舞い上がってしまう自分がいる。
一足早い春の訪れ、なんてあまりに月並みだが、文字通り浮かれている自分には関係ない。
「スザクがよければ、受け取ってもらえますか?」
「…良いんですか?」
「もちろんですよ」
春も通り越した、夢みたいな、そんな気持ちの自分には。
「開けてみてください!」
包みを受け取って、ゆっくりとリボンを紐解く。
真っ白な包装紙を破けてしまわないように丁寧に広げて、蓋を開けてみると。
「これ……猫、ですか?」
「スザクと初めて会った時に出会った猫さんですv」
ブルーベリーを混ぜた青みのあるチョコレートを地に、右目を覆うミルクチョコレートの斑模様。
砕いたナッツで形作った瞳と鼻に、ホワイトチョコのペンで描いたヒゲ。
まさしくそれは、今は生徒会で飼われているあの猫、アーサーであった。
「これ…手作り?」
「はい。ちょっと不恰好で恥ずかしいんですけど…;//」
「そんなことないよ。よく出来てる。食べるの、勿体無いな」
「ありがとう。ちゃんと食べてくださいね?」
「…そうだね、うん。大事に食べるよ。ありがとう」
身に余る贅沢を噛み締める。
自分との思い出のあるアーサーの形を模したチョコレート。
わざわざそんな手の込んだものをユフィが用意してくれる、なんて奇跡が目の前で起こったのに、
「あ、良かったらルルーシュの分も食べてみてください」
「…え?」
「それ、ルルーシュのとは色と味が違うんですよ」
そのユフィの一言で、またしてもあっけなく崩れ去ってしまった。
「ルルーシュのはベースが苺で、少し赤いんです♪」
(……つまり……ルルーシュと一緒……;?)
スザクの中に再び切ないものが過ぎった。先程の寂しさよりも何か空虚感に満ちている。
いや、ユフィにチョコを貰えたことが、自分にとって何より嬉しかったことに変わりはない。
それは確かなのだが、やはり思うところはあるわけで。
ルルーシュが特別視されていなかったことに安堵するべきか、自分も同列だったことを嘆くべきか。
そんなことを考えていると、ユフィの声が降ってきた。
「つい作り過ぎちゃったから、スザクにもあげようと思って」
(…作り過ぎた、から……?)
追い討ちをかけるようなその声に顔を上げると、
その会話だけではルルーシュのファンなのか、ユフィの護衛なのかは分からない。
どちらか分からない以上、とにかく見つかるわけにはいかなかった。
スザクは咄嗟にユフィを引っ張って隠す。
「この教室は…?」
「開けてみる?」
「ユフィ、少しの間…我慢して」
「あ、はい……//」
ガラリ、扉の開く音。
二人が身を潜めたのは机の下のスペース。息を押し殺して、過ぎ去るのを待つ。
「誰もいないね」
「この教室、使ってないもの」
「そうだね、行こうか」
ピシャリ。
どうやらルルーシュのファンだったらしい女生徒が扉を閉める。
それからどれくらいの時間が過ぎただろうか、再び廊下に静けさが戻り、たまらずに大きく息をするユフィ。
「…行ったみたいだ」
「あの……スザク?」
「うん?」
「ちょっと…苦しいです。;///」
狭いスペースに押し込められたユフィの訴えでようやく気付く。
ほぼ密着状態であったことに。
「あ、わ、ごめんっ;!///」
「い、いえっ、助かりました///」
急いで机の下から抜け出し、スザクはユフィに手を貸す。
「………その」
沈黙になるかと思いきや、意外にもユフィは言葉を続けた。
「このチョコなんですけど」
「あ、あぁ、うん」
「スザクがよければで良いんですけど…」
「良いよ、僕でよければルルーシュに渡しておく」
「ルルーシュには、もう渡しましたよ?」
「え?」
思考が一瞬停止した。
てっきり目の前の包みはルルーシュ宛で、渡す時間がなかった(あるいは怒っていて受け取ってもらえなかった)のだと思っていたのに。
既にルルーシュには渡してきたと彼女は言う。
そうか、彼が別れ際に言った「嬉しかった」とは単に逢えたからだけでなく、チョコをもらったからなのか。
そこまで辿り着いて、ようやくスザクの頭はゆるゆると動き出した。
「……では、一体これは誰の…;?」
「スザクのですよ?」
「…………本当に?」
「嘘なんてつきません。正真正銘、スザクの分です!」
ユフィのさも当たり前のようにサラリと口にされた言葉で、一瞬にして舞い上がってしまう自分がいる。
一足早い春の訪れ、なんてあまりに月並みだが、文字通り浮かれている自分には関係ない。
「スザクがよければ、受け取ってもらえますか?」
「…良いんですか?」
「もちろんですよ」
春も通り越した、夢みたいな、そんな気持ちの自分には。
「開けてみてください!」
包みを受け取って、ゆっくりとリボンを紐解く。
真っ白な包装紙を破けてしまわないように丁寧に広げて、蓋を開けてみると。
「これ……猫、ですか?」
「スザクと初めて会った時に出会った猫さんですv」
ブルーベリーを混ぜた青みのあるチョコレートを地に、右目を覆うミルクチョコレートの斑模様。
砕いたナッツで形作った瞳と鼻に、ホワイトチョコのペンで描いたヒゲ。
まさしくそれは、今は生徒会で飼われているあの猫、アーサーであった。
「これ…手作り?」
「はい。ちょっと不恰好で恥ずかしいんですけど…;//」
「そんなことないよ。よく出来てる。食べるの、勿体無いな」
「ありがとう。ちゃんと食べてくださいね?」
「…そうだね、うん。大事に食べるよ。ありがとう」
身に余る贅沢を噛み締める。
自分との思い出のあるアーサーの形を模したチョコレート。
わざわざそんな手の込んだものをユフィが用意してくれる、なんて奇跡が目の前で起こったのに、
「あ、良かったらルルーシュの分も食べてみてください」
「…え?」
「それ、ルルーシュのとは色と味が違うんですよ」
そのユフィの一言で、またしてもあっけなく崩れ去ってしまった。
「ルルーシュのはベースが苺で、少し赤いんです♪」
(……つまり……ルルーシュと一緒……;?)
スザクの中に再び切ないものが過ぎった。先程の寂しさよりも何か空虚感に満ちている。
いや、ユフィにチョコを貰えたことが、自分にとって何より嬉しかったことに変わりはない。
それは確かなのだが、やはり思うところはあるわけで。
ルルーシュが特別視されていなかったことに安堵するべきか、自分も同列だったことを嘆くべきか。
そんなことを考えていると、ユフィの声が降ってきた。
「つい作り過ぎちゃったから、スザクにもあげようと思って」
(…作り過ぎた、から……?)
追い討ちをかけるようなその声に顔を上げると、
突然、口の中に広がる甘いミルクチョコの味。
「でもこれは、スザクにしかあげてませんよ?」
優しく口内に押し込められた、シンプルでまんまるのトリュフチョコ。
ユフィの右手にはそれがいっぱい詰まった可愛らしい袋が握られている。
「その猫さんのチョコはお姉様達にも渡しましたけど、これはその、特別です//」
「………つまり?」
「えっと………本命なんです、けど///」
「義理…ではなく?」
ユフィは恥ずかしそうに真っ赤にした顔で頷いた。
最初に義理チョコを渡すことで、一度はガッカリしたスザクに、本命チョコを渡して喜んでもらう。
これがユフィの計画もとい、ちょっとした悪戯だったらしい。
「ごめんなさい、せっかくだからもっと手の込んだ物が作りたかったんですけど…」
「ユフィ…」
「調理場には他の人もいたから、目立つ物をひとつだけ作るのはやっぱり恥ずかしくて……//」
「…貴女って人は…」
「スザク!;///」
たまらずに、華奢な肩をギュッと抱き締める。
「…不安になりましたよ」
「大好きになる、って……あの時言ったじゃないですか」
ユフィも、きゅっと力を込めて返した。
「心まで下さるかどうか、さすがにそこまで自信は持てません;」
「…私も、スザクが受け取ってくれるか自信がなかったんです」
だからちょっとズルしちゃいました、と悪戯っぽく笑うユフィの頬もほんのりと朱に染まる。
返さないよ、なんて呟くと、すっかり赤くなってしまったけれど。
「それに、随分ルルーシュに妬かされました。」
「ホントですか?//」
「…ユフィに嘘はつけないな」
「ふふっ……贅沢だったでしょうか…///」
本当に嬉しそうに、笑顔を見せるユフィ。
それだけで、さっきまでの寂しさも可愛い悪戯もヤキモチも、全部幸せに変わってしまう。
「好きになりなさい」
あの言葉と同じ、扉を開けるたったひとつのかけがえのない幸せ。
それが腕の中にすっぽりと収まってしまう、自分にとって夢みたいな奇跡。
「ねぇ、ユフィ」
「何ですか?」
「僕も贅沢、してもいい?」
つんと指差したのは、気持ちのいっぱい詰まった幸せの袋。
それを一粒取り出して、
「食べさせてほしいな…なんて」
甘そうな唇へと持っていく。
「もう……///」
「ダメ?」
「…大好きです。あの時の大好きよりも、ずっとずっと…私、スザクのことが大好きです」
控えめに頬に触れる、思った自分を幸せにする、たったひとつの味だから。
「………美味しかった?」
「決まってる。」
とろけるくらいに甘いキスで、
君にもひとつ、分けてあげよう。
よりも甘い感触は、二人だけの承諾の合図。
Especially For You.
「でもこれは、スザクにしかあげてませんよ?」
優しく口内に押し込められた、シンプルでまんまるのトリュフチョコ。
ユフィの右手にはそれがいっぱい詰まった可愛らしい袋が握られている。
「その猫さんのチョコはお姉様達にも渡しましたけど、これはその、特別です//」
「………つまり?」
「えっと………本命なんです、けど///」
「義理…ではなく?」
ユフィは恥ずかしそうに真っ赤にした顔で頷いた。
最初に義理チョコを渡すことで、一度はガッカリしたスザクに、本命チョコを渡して喜んでもらう。
これがユフィの計画もとい、ちょっとした悪戯だったらしい。
「ごめんなさい、せっかくだからもっと手の込んだ物が作りたかったんですけど…」
「ユフィ…」
「調理場には他の人もいたから、目立つ物をひとつだけ作るのはやっぱり恥ずかしくて……//」
「…貴女って人は…」
「スザク!;///」
たまらずに、華奢な肩をギュッと抱き締める。
「…不安になりましたよ」
「大好きになる、って……あの時言ったじゃないですか」
ユフィも、きゅっと力を込めて返した。
「心まで下さるかどうか、さすがにそこまで自信は持てません;」
「…私も、スザクが受け取ってくれるか自信がなかったんです」
だからちょっとズルしちゃいました、と悪戯っぽく笑うユフィの頬もほんのりと朱に染まる。
返さないよ、なんて呟くと、すっかり赤くなってしまったけれど。
「それに、随分ルルーシュに妬かされました。」
「ホントですか?//」
「…ユフィに嘘はつけないな」
「ふふっ……贅沢だったでしょうか…///」
本当に嬉しそうに、笑顔を見せるユフィ。
それだけで、さっきまでの寂しさも可愛い悪戯もヤキモチも、全部幸せに変わってしまう。
「好きになりなさい」
あの言葉と同じ、扉を開けるたったひとつのかけがえのない幸せ。
それが腕の中にすっぽりと収まってしまう、自分にとって夢みたいな奇跡。
「ねぇ、ユフィ」
「何ですか?」
「僕も贅沢、してもいい?」
つんと指差したのは、気持ちのいっぱい詰まった幸せの袋。
それを一粒取り出して、
「食べさせてほしいな…なんて」
甘そうな唇へと持っていく。
「もう……///」
「ダメ?」
「…大好きです。あの時の大好きよりも、ずっとずっと…私、スザクのことが大好きです」
控えめに頬に触れる、思った自分を幸せにする、たったひとつの味だから。
「………美味しかった?」
「決まってる。」
とろけるくらいに甘いキスで、
君にもひとつ、分けてあげよう。
よりも甘い感触は、二人だけの承諾の合図。
Especially For You.
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