説明
えー…時間軸、1月。…のみ。(何
いや、本当にただの突発なのでね!そこしか考えてません。orz
こう言ったら良いなー、っていう希望だけのなんともグッダグダな駄文です。
真面目ーにスザユフィが見たい方、すみません。悪いことは言いません。
引き返しましょう。(真顔
雰囲気で楽しんでくださる心の広い方、歓迎します。笑
雰囲気としてはスザ→ユフィ色の方が強いです。一応スザ×ユフィですが。
5話のデートな雰囲気目指したんですが、スザク敬語です。身分はバレちゃってる感じです。
でもユフィ呼び。ここは11話見た人間としてははずせません。笑
なんでか、って敬語なスザクの方が好みだっただけです。(真剣
5話以降まともに会話してるスザユフィ見てないから良いじゃないですか。ね。←
ちなみにスザク、お前は誰だ的な状態ですorz
では雰囲気でどうぞ。
『サクライロ。』
「…これが日本の“お正月”というものです。分かりましたか?」
これからますます寒くなるという1月。
租界とはいえ、護衛付きとはいえ、久々に実の姉であり此処エリア11の総督であるコーネリアから、1日だけならと許可を得たユフィことユーフェミアは、副総督の職務を1日だけ頭の隅に預けて外出していた。
とはいえ、重責を負う姉は今もどこかで指揮をとっているのだから、早く帰ろうとも思うのだけれど。
ただ、今はこの、自分をユフィと呼ぶ隣の連れと歩くことが楽しくて、もう少しだけ、と祈るような気持ちで歩いている。
「えっと、つまり新らしい年を家族でお祝いするんですね」
「はい。」
桃色の長髪を帽子で隠した少女の隣でそう微笑むスザクは、初めて彼女と会った時のことを思い出しながら、日本という国について聞いてきたユフィの質問に言葉を選び、分かりやすいように説明しながら歩いていた。
本当はこうやって隣を歩くことすら許されないような身分の差がある自分達だけれど、今日だけはとお願いされて、彼女の休日に付き合っている。
ユフィと初めて会った時、今日が最後の休日、と言っていたのを思い出し、最初は疑問を抱いたのだけれど、正式には休日ではなく視察見聞ということになっているらしい。
なので、話題は一応日本のことだ。
自分の話で見聞になるのかと躊躇したが、本人も楽しんでくれているようだし、自分と歩ける程好きなようにさせているのだから、実質休日なのだろうと思って話している。
護衛役も何人か数メートル後方にいるし、ユフィも変装済みで、普通の休日には見えないが。
「子ども達の遊びも、おもしろそうです」
「独楽や凧揚げですか?」
「はい、ブリタニアにはそういう季節独特の遊びというものが無かったので…」
それに皇族として生きている彼女にとっては、そういう遊びも縁遠かったのではないかとスザクは推測する。
ユフィの質問は、日本に色濃い四季についてが最初だった。
ブリタニアに敗北し、エリア11の名を受けてからの日本はユフィもよく知っている。今現在がそうなのだから。
だから彼女は、日本だったころの話を中心に質問した。
立場もあり、今までは聞く状況にはなれなかったのだけれど、スザクは聞いても構わないと言ってくれた。
彼女なりに調べていたこともあったらしく、意外と知っていることも多かったが、たまに思いもしない勘違いがあって、スザクとしても面白かったのもある。
「あ、ハネツキも。やってみたいですね、機会があれば」
また世辞ではなく、ユフィの本心から聞きたいという表情もスザクの話を進める要因ではあった。
日本だったころの話が中心なので、スザクはエリア11ではなく、日本と呼称している。
ユフィは後ろの護衛役の目もあり、そういうわけにはいかなかったが。
「そういえば日本…エリア11で咲くサクラはとても綺麗なんでしょう?」
スザクが子どもの時に見た街並みとは全然違う、正月飾りもない街を見て、ユフィは思い出したように話し出した。
「昔、お姉様に聞きました。サクラはこの国のものが一番綺麗だって。」
「国花でしたからね。春はとても綺麗ですよ」
「私はブリタニア本国のものしか見たことがないので、エリア11に来たら一度見てみたかったんです」
そう言ってユフィが見た街の葉も付いていない木々の間を木枯らしが駆け抜けていく。
此処に桜の木があるのかは分からないけれど、春になればあの眩しく淡い桜色でこの街が色づくのかなと頭の中で描いてみた。
綺麗。
ブリタニアで姉と見たサクラに感動したのは今でも覚えている。あれを越える景色が心の中で広がる。
「この街にもサクラは咲きますか?」
「そうですね…あぁ、多分あれは桜の木ですよ」
スザクが指した方を目で追うと、大きくて太い、けれど他の木と同様に空を支える枝を掲げた木があった。
その街路樹の前に立ち、スザクは剥き出しの幹に触れる。
「分かるんですか?」
「昔の家の近くにたくさん生えていたので、なんとなくは…」
よく登ったなぁ、と見上げて呟くスザクの表情をユフィは盗み見る。
対して気付かず、たまに毛虫なんかいたりしたっけと苦い思い出に一人思いを馳せていたスザクは、不意に周囲を見回し、桜の木と思しき木を探した。
「…この辺りは、桜は少ないかもしれません」
「確か…キョウト、という所のサクラが綺麗なんですよね、スザク」
「はい。…でも今は少し季節はずれですね」
「そうなんですか?」
「春に咲く桜が、満開で一番綺麗ですから」
「そうですか…」
しゅんとした顔をするユフィに、スザクは急いで取り繕う。
「あぁでも、あと二、三ヶ月すれば春になります!その時、お許しが出れば見に行きましょう」
「…一緒に?」
聞き返され、焦るあまりに勢いで余分なことまで言ってしまったことに後で気付いた。
キョウト、というからにはゲットーで、あの妹に甘いと噂の姉が租界から彼女を出すはずがない。
けれどそれはユフィの方も以前注意され重々承知だったので、スザクの申し出が叶うかどうかを重視して尋ね返したわけではなかった。
ユフィの顔を見たスザクは、柔らかく微笑む彼女の表情からそれをなんとなく察し、あくまで自分の希望として言うことにした。
「…はい、ご案内します」
「約束です。春になったら…」
「はい。春になったら、必ず。」
変装としてかけている眼鏡のレンズの奥で細まるアメジストの瞳を見ると、叶えてあげたいと思う。
今日自体が夢のようで、ましてやキョウトに連れ出すなんて不可能に近い。いや、不可能だろう。
だけど、彼女が、ユフィが望むのなら、自分に出来る限りしてあげたい。
「…ユフィ」
「はい」
スザクは小指を差し出した。
「指を。…日本では昔からこうやって約束するんです」
躊躇わず、ただ不思議そうに手を差し出したユフィの小指を取り、絡めて、約束の唄を歌った。
「…指きった」
歌い終え、僅かに上下に振っていた指を離す。
まじまじと見つめていたユフィに、今のくだりの説明をする。
「指きりって言うんですよ」
「…変わってますね」
「そうですか?」
ちょっと怖い歌詞が入ってました、と苦笑するユフィは、もう一度、少し名残惜しそうに小指を見つめて笑った。
「でも、おもしろいです」
そう言うと、スザクも笑って、ユフィは街路樹に視線を戻す。
「なんだか寂しくないですか?」
「え?」
「…サクラです。せっかく綺麗なのに、春だけだなんて」
雪が降りそうなほど真っ白に曇った空を見上げ、枝だけを揺らす木が寂しく思えた。
しばらく思案していたスザクが言う。
「でも…その分、春が待ち遠しいんですよ。ずっと咲いていたら、感動が薄れてしまうでしょう?」
その言葉に、ユフィは自分が言ったようにサクラがずっと咲いていたらどうだろうと考えてみた。
それからスザクが言っていたことも考えてみる。
「なるほど…。確かにそうですね」
「…それに…」
「それに?」
言いかけたスザクに問いかけると、彼は綺麗に笑っていた。
「自分は大丈夫ですよ。いつでも咲いている、綺麗な桜を知っていますから」
「えっ?そんなサクラがあるんですか?」
「えぇ。…いつも見られるわけじゃないんですが」
「…難しいものなんですね…」
思いがけないサクラの存在に、ユフィは目を輝かせ、スザクの注釈に顔を沈ませる。
そんな彼女に、スザクはでも、と付け足した。
「でも、やっぱりその分、とても嬉しいんですよ。その桜色を見ると」
さり気なく、桜色と付けて。
「じゃあそれは、スザクのお気に入りなんですね」
「…はい」
優しく笑う彼女に、自分も同じ、それ以上の気持ちを乗せて微笑み返した。
口には出来ない想いを。
「是非どんなサクラなのか、私にも教えてくださいな」
何も知らないユフィは、そう言って瞳を輝かせている。
「えっ、いや、それは…」
「あ、独り占めですかスザク」
「そういうわけでは…!ただ…その…」
「?」
スザクはただ、ユフィの帽子から見える包みきれなかった髪の毛先を見て戸惑っていた。
困惑顔の彼を捉え、ユフィは小指を差し出す。
「スザク、手を」
「え」
間抜けな返事をしてしまったスザクをよそに、ユフィは構わずスザクと小指を絡める。
「約束しましょう。春にサクラを見に行った時、その特別なサクラのことも教えてください」
特別、という言葉に朱が差し、しかしそんな場合ではないと我に返ったスザクは慌ててユフィを見る。
「え、わ、ユフィ、それは…!」
「もう約束しちゃいました」
「…そんな…」
春に桜を見に行くなんて叶わない、そう思っていたけれど、今のユフィなら叶えてしまいそうな気がした。
「約束破ると針千本、なんですよね?」
悪戯っぽく笑うユフィに、この願いを叶えていいものかと先の自分と早くも戦うはめになるとは。
自分はやはり、何かを諦めなければいけないのかもしれない。
この人の笑顔に逆らえなくなってきている自分か、言ってはいけないこの想いか。
あるいは桜を見に行くことからかは、勝敗が決まった後にわかること。
「それも困ります…」
だってユフィ?
一番好きな桜色は、あなたの色なんですよ?