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管理人黒峰の日々の徒然。 主に視聴アニメやらでの叫びなど。なんだかんだうだうだ言ったり空元気でテンション高かったり色々!
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つなひば♀続編です。

【注意事項おさらい】
・以前別館で掲載していたリボーンのつなひば(※逆にもなります)小説です。
・ツナさんの方が年上です。委員長は後輩です。
・雲雀さんの性別がおにゃのこです。女子です。

獄寺・山本も出てきますがこの二人はあまり変わりない…はず。
この回はデレシリアス?なツナ→ヒバです。お付き合いはしてません。

タイトルはお題として空飛ぶ青い何か。様よりお借りしています。


「十代目ぇっ!!おはようございます!!」

「おはよう、獄寺くん」



涙目になりながら、というかもう号泣しそうな獄寺くんが授業中ということなどアウトオブ眼中で俺に向かって頭を下げた。



「お前達……言っておくが獄寺、全くもってお早くはないからな?もう2限目だ。遅刻だぞ、沢田」

「あ…すみません先生」

「十代目が謝る必要なんてありません!十代目がいらっしゃって初めて(俺の)1日が始まるんです!」

「あー、うん、ありがとう」



息巻く獄寺くんを宥めながら俺は自分の席を目指した。


これ以上やっていると先生の怒りのボルテージが上がって、しかも俺だけ痛い目を見る。

彼の態度の悪さ、というか不良そのものに近い彼にまともに説教を聞かせられる教師は最早並中にはいないし、課題を出されたところで彼の頭ではノルマにもならないのだから。

その点俺は教師の怒りを少しでも和らげようと逆らったりはしない…もとい反論出来るような器もノルマを易々とクリア出来る頭も持ち合わせていない。


だから俺はこれ以上逆撫でしないように早めに自分に手を振る彼を宥めておく。


世の中不公平だ。それでもって理不尽。



「おっす、ツナ」

「あ、おはよう山本」



斜め後ろの席で軽く手をあげて俺に挨拶をくれるのは山本。

スポーツマンなだけあって快晴みたいに爽やかな笑顔がよく似合う。



「今日も賑やかなのな」

「あはは…」



賑やかなのは獄寺くんだけ…というか彼で十分なんだけど。

ほら、今度は山本に向かって後ろで何か文句言ってるしさ。


でも山本の天然っぷりと笑ってすませてくれる寛大さは俺の唯一の救いみたいなものだ。

………天然すぎてたまに困る時もあるけど。



「お前ら……いい加減に授業をだな…?」

「あー、はい!ほら獄寺くん!ちゃんと座って!」

「十代目がおっしゃるなら……覚えてろよ野球バカ!」



獄寺くんも…問題ばっかり持ってくる人なんだけど、自分を慕ってくれるのはやっぱり嬉しい。

十代目になるつもりはないけど、大切な友達だ。もちろん山本も。


だからこそ、俺自身に問いたい。



あの人は一体俺にとっての何なんだ?




『ひぃぃぃ』




「はーっ、疲れた~」



7月の太陽が照りつける、屋上での昼休み。

いつも通りの面子、獄寺くんと山本の3人で昼食を広げている。

あれから無事に2限目を終えるのに一苦労したのは言うまでもない。


とりあえず遅刻した罰として大概の問題は俺に解答権が与えられる。

そして俺はその大概の問題が分からずうろたえる。

そんな十代目をフォローしようと必死に獄寺くんがサインを送るが生憎解読不能。

それで結局山本が獄寺の奇怪なジェスチャーにウケて笑い、獄寺くんが怒り、教師がますます不機嫌になる。

そこを今度は俺がフォローするハメになり、口を挟むとまた解答権の的になって……の繰り返し。


かくして2限終了のチャイムは救いの鐘となった。



「ツナ、お疲れさん」

「なんとかね…」

「お疲れ様です十代目!大体お前がだな山本」

「あぁ、やめてよ獄寺くん!もう十分だから…!」



これ以上の面倒はもうたくさんだ。

溜め息混じりに購買で買ったカツサンドを口に含む。

食パンの柔らかさが何とも優しい感触で癒された。



「…でもツナ、最近ちょっと遅刻多くねぇ?」

「ふぇ?…そうかな?」

「そうですね、2ヶ月前までは平均して一桁だったのがそれ以降はニ桁いってますよ。正確に言うと2か月前の月末あたりから…」

「なんでそこまでカウントしてるの獄寺くん…」



十代目のことは何でも記録してますから!と手放しで喜べないことを彼特有の笑顔で告げられた。

他に何を記録しているのか問い質したいところではあるが、逆に聞きたくもない。



「何か理由でもあんのか?マジで先生達も心配してたぜ?」

「十代目のいらっしゃらない朝なんて退屈以外の何物でもないですよ!」

「うーん、成績的に危ないのも分かってるし、リボーンも恐いんだけど…」



だけど。



「ツナがいないと寂しいのな」

「山本……うん、気をつけようとはしてるんだ。でも……」

「どうしたんです?……もしやまたアホ牛達にせがまれて夜中まで遊びに付き合わされているとか…」

「違う違う!ランボ達はちゃんと寝てるし、寝不足ってわけじゃなくて…」



じゃあどうして、と山本が訊こうとした時。



『―――――沢田綱吉』


「!」



同年代にしてみれば少しハスキーな声が不意に校内に反響した。

突然の名指しに俺の心臓は跳ね上がる。



『今朝の件で話があるから、今から応接室まで来なよ。良いね?』



そこまで言い放つと校内放送はプツリと切れた。

まるで声で分かるだろうとでも言うように呼び出した相手の名前は告げられなかった。

事実、分かりきっているが。



「随分一方的なのな~」

「十代目に向かって失礼な…!」

「なぁツナ、今朝の件って…」

「獄寺くん」



手に持っていた、まだかじってもいない焼きそばパンを獄寺の方へずいっと差し出した。



「コレ余っちゃったから食べてくれる?」

「え、良いんですか?別にあんな呼び出し、食べてからでも」

「良いんだ、早く行かないと怖いし」

「おいツナ…っ」

「じゃあ俺行ってくる!」



残り少なくなったカツサンドさえも煩わしそうに咥えて、それだけ言うと耳も貸さず立ち上がり、ダメツナらしからぬ素早いスピードで階段を駆け降りていった。



「……ツナの奴、全然怖がってる表情じゃなかったな…」



むしろ正反対の、嬉々とした表情で。




全速力で走ってきた息をどうにか整えて、応接室の扉をノックする。

来客用に造られた部屋だけあって、他の教室と違って随分綺麗な造りだ。



「どうぞ」

「しっ!失礼します!」



中から聞こえた声は放送と同じものではない。

それなのに…あぁ、なんで俺こんなにドキドキしてるんだっ!



「えっと…さっき呼び出されたんですけど」



平常心と言い聞かせ、恐る恐る扉を開く。

中には学ランを羽織った風紀副委員長の草壁が立っていた。

応接室には彼一人で、他の影はない。



「あぁ、君か。すまないが委員長は今席を外している」

「そう…なんですか」

「すぐに戻ると思うから、そこに座って待っていてくれ」

「はい、分かりました」



これといった表情の変化もなく、そう言うと彼は応接室から出ていった。

どうやら俺への伝言係だったらしい。



「ていうか、呼び出しといていないって…」



そうこぼして指示されたソファに腰掛ける。

言いながら、俺は怒りや呆れなんかよりも残念に思っている自分に気付いていた。



「…ま、まぁ良いや。ドキドキを収めるには丁度良い」



不意にクーラーの冷風が頬を撫でた。

屋上から走ってきた身体には心地よく、心臓も少し収まってきた気がする。

このドキドキは、きっと運動したせいなんだ。



「はーっ、応接室って快適で良いなぁ」



並中で空調が完備されているのはここくらいだ。

風紀委員が乗っ取るのも頷ける。いや、頷いちゃダメなんだけどさ。



「……涼しいし…綺麗だし静かだし…確かに雲雀さん好きそうだもんな…」



………って!何?!好きそうって何!?

何言っちゃってるんだ俺!


弱者に容赦のない最凶の風紀委員長。その姿しか俺は知らない。

名前を呼ぶと固くなったり、頭を撫でると少し赤くなったり。

…そりゃ、ちょっと可愛いかなー、なんて思うところもあるけどさ。


彼女の好みなんて、それこそ俺の知る由もないのに。



「うぅ……やっぱり変だよ、自分」



獄寺くんの言うところ、2ヶ月前の月末あたり。

いつものように不良グループに目をつけられて、校舎裏まで連れていかれた丁度あの時だ。

そう、雲雀さんに助けてもらったあの時。

あれから俺は、時々自分を扱いかねる。



『咬み殺す』



あんなに恐かったその言葉が、俺を助けてくれた。


そんな奇跡が、俺をおかしくしてしまったのだろうか?


憧れしか抱いていなかったはずのあの人に、確かに俺は違う感情を抱き始めてる。

あれから2ヶ月経ったけど。


あのひとの声が、表情が、姿が、頭から離れなくて―――………



「早かったじゃない。」

「!」



せっかく落ち着いた心臓がまた跳ね上がるのをはっきりと感じた。

扉を開けた音さえ聞こえなかったほどに夢中になっていた本人の声が俺の耳朶を柔らかく打つ。



「雲雀、さん」

「まだ昼食をとっているかと思ったけど、君もそこまで馬鹿じゃなかったかな」



口角をほんのりと上げて、中に入って来る。


もちろん俺の動揺には微塵も気付いていないはず。

『今から』って自分で言ったのに、とか多分来てなかったら探し出されて咬み殺されていたんだろうな、とか余計なツッコミは頭の隅を掠めただけで口には出なかった。



「えっと…今まで何処に?」

「放送室から戻る途中、群れている草食動物を見かけてね。」



そう言いながら、彼女は雲雀愛用と思われる仕事机からクッション入りの椅子を引いて座った。

校長室なんかで見る黒地の柔らかそう(+偉そう)な椅子だ。



「やっぱり、草食動物だと運動にもならないね。君のところにいる赤ん坊は元気?」

「リボーンですか?元気すぎて困ってるくらいですよ」



引き出しから書類を数枚引っ張り出して、雲雀さんは席を立った。



「そう。有り余るくらい元気なら、僕と戦うように言っておいてよ。」

「分かりました。……ノッてくれるかは分かりませんが」

「良いよ。アプローチはするものでしょ」



…この危ない空気を孕んだ会話にも馴染み始めている自分が恐ろしい。

しかしそれ以上に、この人の一挙一動を見逃すまいとこっそり見つめている自分もなんだかよく分からないけど恐い。


気付いていて受け流しているのか最初から気にも止めていないのかは分からないが、彼女が何も言わないから俺はずっと視線を一点に注ぐ。



「それで、本題だけど」



目の前のソファまで移動して、書類を眺めながら話す雲雀さん。


不思議だな。あのことがあるまでは、こんな風に言葉を交わすことは無かった。

今日だって、きっと俺はそれでも急いでここに来ただろうけど、もっとガチガチに緊張して、何されるかって怯えて、自分の行く末しか気にしていられなかったはずだ。


なのに今、俺の目は書類をなぞる白い指先とそれを追いかける黒曜石の瞳、冷風にふわりと遊ぶ闇色の髪から離せない。


こんなに近くでじっと見てられる機会なんてなかったけど(咬み殺されるし、それ以前に近寄れない)やっぱり綺麗なんだなぁ。

肌も透き通りそうなくらい白いし…顔も小さいし肩もあんなに細くて……唇も潤い色付いてる。


どんなに恐くても、やっぱり女の子なんだ。



「…………だから………けど…」



改めて、絵になる人なんだなぁと実感する。


クラスのマドンナ的存在の京子と違って彼女のそういう話は全然聞かないけど、恐いから皆近寄らないだけ、気付かないだけで、もしかしてこの人…すっごく美人なんじゃ…。



「…………それで……」



人懐っこいタイプの京子とクールビューティーという雰囲気の雲雀。

全然正反対だ。よく笑う京子が太陽なら、彼女はまるで月のよう。


……笑ったらどんな顔するんだろ。


っていうか、雲雀さんの笑顔なんか見ちゃったら俺、絶対心臓保たないよ!



「……………ねぇ…」



頬が熱を持ち、心臓が早鐘を打つ。


よく考えたら今俺、雲雀さんと二人きり……。


……………いたたまれない!変に意識しちゃうよもう!



「…ねぇ、どこ見てるの?」

「ひぃっ!?」


いつの間にか、息遣いさえ聞こえそうなくらい近くに、有り得ない距離に雲雀さんがいた。

見ると俺と彼女のソファの間に横たわる机に乗り出して、その顔を寄せている。



「……君、失礼だよ。」



驚きといたたまれなさと激しすぎる動悸で身体が動かない俺を不機嫌そうな瞳が下から貫く。


その仕草に心臓はバクバクと彼女にも聞こえそうなくらいうるさい。



「僕はそこまで怯えるような顔をしてる?」

「ち、違うんです!そうじゃなくって!」



じゃあ何故、と言いた気にぐんと接近する強気の瞳。

刹那、クーラーの冷風に乗ってほんのりと上品なシャンプーの香りが漂うと嫌でも意識してしまう。



ちょっと待って!それ以上はっ!!


ひぃぃぃ!雲雀さん!あんまり無防備に顔近付けないで!!



「わっ、分かりましたからとりあえず座ってください!」

「?」



背もたれのいっぱいまで後ずさってどうにか距離をとろうとする。


あぁもう、そうやって首を傾げないでください!



「お願いします!」

「…良いけど……」



ゆるゆると元の位置に戻ってくれた。

溜まっていた息を吐き出す。


正直、予想外だったシャンプーの香りはヤバかった。



「…すみません、ちょっと驚いて」

「ふぅん…」



過ぎ去った一難に胸を撫で下ろした。あれは反則だよ。

自分がどれだけ彼女を意識していたのか理解させられた気がして恥ずかしくなった。


(俺……やっぱり“憧れ”じゃなくて、)


どうしよう、まともに顔が見れない。



「ねぇ、話は聞いてた?」

「話?………あ。」



応接室に呼ばれた理由を思い出した。

そうだ、今朝の遅刻で今月10回目だったから、どうせ今月もトップでしょ、って言われて。

それでその何か罰を考えると言われたんだ。


そんな真面目な、しかも俺に非ありまくりの話の最中に俺は…!



「すみませんっ、俺!考え事をッ!」

「まぁ、そんなことだろうと思っていたけど」

「へっ?」



話し中に考え事してた聞いてなかった。

しかもそれをお見通しだったなんて、どうしよう。


これは咬み殺される……っ!



「だって君、一人で百面相していたよ?」

「え!?そっ、そんなっ、顔に出て…!」



「ふ、冗談だよ。」



「……っ、」



い、今笑った!?今本当に笑ったの?!


初めて見た。彼女のあんな表情。


うわぁ、うわぁ…!あんな穏やかな顔で笑うんだ…!どうしよう、俺…!


予想外の出来事ばかりで心臓が壊れそうだ。



「さっきは待たせたから、特別にもう一度だけ言ってあげる。今度はちゃんと聞いているんだよ。」



そう言ってまた書類をなぞり始めた。

けれど…ちゃんと聞いてるんだけど、内容が頭に入らない。


(…ごめんなさい、雲雀さん)



「以上。……分かっ、た」



心地よいシャンプーの匂いがもう一度くすぐった。

漆黒の瞳は見開かれて俺をいっぱいに映す。


潤った唇は俺の口元。


ほとんど衝動のように、俺は初めてキスをした。



「…………ぁ…っ」

「な……な、に…して…」



かぁっと熱が込み上げて、透き通る肌は赤に侵食されていく。

そう染め上げたのが俺だという、不思議な優越感にも似た満足感を得た。



「……2ヶ月間、ううん、本当はもっと前からずっと雲雀さんを見てました。」



状況が飲み込めない彼女はただ俺を見ている。



「最初は憧れだったんです。でもあの時、あなたに助けてもらった時から、俺はいつもあなたのことを考えて、あなたのことが知りたくて、近付きたくて話がしたくて、」



身体が勝手に動いていた。

ただ彼女に会うために遅刻を続けていた。


会いたくて、会いたくて。


やめたくてもやめたくてもやめられない。そんな風にどんどん繰り返して。



「気付いたらあなたを目で追って、もしかしたら近くにいるんじゃないかって辺りを見回して、いつもあなたを思い出してる。そういう自分がいたんです。」



いつもの力強い瞳が、俺を見て揺れている。


あぁ、嫌われたのかな。


(無理もないよな…。あんな、)


漠然とそんなことが頭を過ぎった。



「ごめんなさい、雲雀さん。突然ごめんなさい」



本当に馬鹿だな、俺。

謝るなら、しなきゃ良かったじゃないか。



「さ、わだ」

「!」



…今、名前なんて呼ばないでくださいよ。



「ごめんなさい、忘れて、ください」

「……なんで」


(なんで、そんな顔してるの)


「本当に、すみませんでした」



そう告げると、校内全体に、静寂な応接室にも予鈴が鳴り響いた。

あと10分で昼休みが終わる。



「…遅刻した罰の件、また今度聞きます」

「待っ……!」



それじゃあ、と俺は早足でその場を後にした。

何も見なかった。何も聞こえないフリをした。



どうか、忘れて。



キスのことも、俺のことも。


嫌われるくらいなら、あなたの中から消してほしい。



そう願った。



「………っ…雲雀っ、さん」



透明な雫が廊下にはらはらと零れる。


悲しいのはあなたの方なのに。



「…………ごめん、なさい」



愛しい人にさよならを。



しかしこの時誓ったことを、俺は後悔することになる。





「明日からは、遅刻出来ないや……」



昼休みの喧騒の中、紡がれた言葉は誰も知らない。
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絵とか文とかお題とか創作してる節操なし。狭く浅く手を出しています。
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