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管理人黒峰の日々の徒然。 主に視聴アニメやらでの叫びなど。なんだかんだうだうだ言ったり空元気でテンション高かったり色々!
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続・グッドナイト。
スザクが出てくるまで…まだまだ…orz
多分次回出てくれます…。

予想外にコネギルが楽しかった…。笑
特派出演。ロイドが曲者です…口調がつかめない…



特別派遣嚮導技術部の扉は勢いよく開かれた。

内側、扉付近にいた人間は、外側で息を切らしている少女の姿に目を瞠った。後ろで高く一つにまとめられた淡色の髪は乱れ、ヒールに関わらず走ってきたのであろう、額からは汗が窺える。人当たりの良い顔は真剣そのもので、一瞬目を疑った人間、多数。
「ど、どうかなされましたか、副総督…!」
突然の思いもよらない来客に固まっていた一同から、いち早く我を取り戻した男性が彼女を迎える。切羽詰ったような、渋い表情は確かに姉妹の血を感じさせた。息を整えつつ、ユーフェミアは必死に訊く。
「スザク、…ランスロットはどこに?」
「それなら、先程この奥に収容しましたが…」
「案内をお願いできますか」
鬼気迫る少女の剣幕に気圧され、断る理由など持ち合わせていなかった男性は素直に従った。少し緊張しているのか、どこかぎこちない様子の男性の背をユーフェミアは追う。堪らずにG1ベースを飛び出してきたその足で。

―…スザク…どうか無事で…

ナイトメアフレームのパーツと思しき部品類が並ぶ狭い廊下を奥へ奥へと進んでいく。それほど距離は無いはずだが、今はどんなに急いでもとても遠い。何枚か扉も抜け、やがて奥に神々しい程白い巨体が現れた。遠目からでもはっきりとわかるそれは、この技術部が開発した最新のナイトメアフレーム・ランスロットだ。
「こちらです」
促されるまま更に奥に進むと、ランスロットの前に二人、人影があった。一人は背の高い銀髪の男性で、もう一人は技術部の制服を着た青い髪の女性だ。二人ともこちらに背を向け、自分達には気付いていない。
「ありがとう」
お礼を言って、案内してくれた男性と別れる。一礼して戻っていくその人を横目で見送り、ユーフェミアはゆっくりと人影の方に近づいた。
「…!副総督!?」
女性の方が自分に気付き、振り向いて驚きの表情をつくった。深海のような、深い濃紺の髪が揺れる。彼女の声に、もう一人の男性も気付いてこちらを向く。
「ん?あぁ本当だ」
眼鏡のレンズの奥の瞳が柔和に歪むこの男性の声は、先程G1ベースで軍官と話していた声と一致していた。二人とも、何度か顔を合わせたことがある。
「ランスロットが不具合を起こしたと聞いたのですが」
意を決したように尋ねたユーフェミアの言葉に、男性は眉根を寄せる。
「いや、だからランスロットに問題は無いんですよ。むしろ問題があったのはパーツの方で」
「ロイドさん!」
後ろの女性が声を荒げた。ロイドと呼ばれる男性は悪びれた風でもなく彼女に聞き返した。
「何、セシルくん」
「不謹慎って言葉の意味、知ってます?」
セシルというらしい彼女の浮かべるいい笑顔に、ロイドは押し黙った。彼らのやりとりを黙って見ていたユーフェミアは、どうしたものかと声を掛け辛そうにしていた。
「…っ」
「!」
立ち尽くしていたユーフェミアは、微かにうめき声の様な声を聞いた。音源は、扉の開いたパイロットのいるランスロットのコックピットの中だ。
「スザク…!」
思わず駆け寄ったユーフェミアをセシルが促し、中を覗かせた。狭い空間で反響するか細い声は、ひどく震えているが確かに自分の記憶しているスザクの声だ。シートの上部に、座っているパイロットの柔らかそうな焦げ茶色の髪が覗く。良かった、生きている。しかし、ならばどうしてコックピットから出てこないのか。スザク、と呼びかけようとして、ユーフェミアは隣のセシルに制される。
「あまり刺激しない方が…」
「どういうことです?」
中をよく見ると、覗くスザクの肩は小刻みに震えている。まるで怯えきったように。不意に彼の背負う、不安という感情を多分に含んだ空気が流れてきて、思わず背筋が凍った。何故あのスザクがこの様な恐怖にも似た雰囲気を持っているのだろう。自分の知っているスザクは、こんな雰囲気は持っていなかったはずだ。
「しばらく…そっとしておいた方が良いと思います」
心配そうな表情を浮かべて、セシルはスザクの方を見やった。ランスロットを回収する前から、自分を含め、誰が呼びかけても今のスザクは反応してくれないのだ。ただ、ひたすらに震えているだけで。
「…修理が出来なくて困るんだよねぇ」
呑気な声でそう言ったロイドを、セシルは黙殺する。どうやら二人はスザクが落ち着くのを待っていたようだった。控えめに、セシルが言う。
「あの…スザクくんが落ち着くまで、経緯をご説明しましょうか?」
ユーフェミアは一瞬スザクを見やり、その提案を承諾した。

「枢木はどうした?」
本部へ無事帰還したコーネリアは、無機質な廊下を騎士のギルフォードと共に歩いていた。数歩後ろをついているギルフォードは眼鏡を掛けなおし、冷静に答える。
「ランスロットのエナジーフィラーが尽きるのを待ったため時間がかかりましたが、回収済みです。パイロットが錯乱状態にあり、困難だったようですが」
「錯乱状態?…ふん、兄上の部隊らしからぬ失態だな」
高い靴で床を蹴る音が響く。
「…ユーフェミアは」
「技術部にて、枢木に付き添っておられます。せめて彼が目覚めるまでは、と仰りその場を離れることを良しとしませんでしたのでお連れしませんでした。…いかが致しましょう」
コーネリアは無言で歩き続けた。やがて床鳴りが止むと、彼女は振り返った。
「もうしばらく好きにさせてやってくれ。…あれには借りもある」
そう言うコーネリアの顔は幾分苦々しいものが見受けられたが、確かに妹を想う姉の顔であった。通常、普段からは想像出来ないその微笑にギルフォードは口元でそっと笑った。
「この私に、あなたの頼みに背く道理はありません」
そうか、と短く答えて、コーネリアは再び歩き出す。

―…そう、借りが出来てしまったのだ。

「…だが、枢木が目覚めるまでだ」

あのように走るユフィを、私は見たことがない。

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