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管理人黒峰の日々の徒然。 主に視聴アニメやらでの叫びなど。なんだかんだうだうだ言ったり空元気でテンション高かったり色々!
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4回目とかそんな長くするつもりじゃなかったんですが…orz

一応ラストです。
サーバーの問題で途中から書き直すハメになったので1回目と全然違います…
それは面白いようにまるで違いますとも…ふふ…(怪
展開は一緒なんですけどね?間の言葉とかね?
ユフィっぽくなくなってしまったのが一番の問題ですorz

ラストはご想像にお任せします。笑
どうにかお楽しみいただければ…


ユーフェミアは微笑んだ後、少しして暗い表情を浮かべた。
「スザク…」
何故か申し訳なさそうに、不安そうに言うユーフェミア。
「何ですか?」
「…覚えていますか」
ゼロと対峙した後、自分がどうなったのかを。あんな風になってしまった原因をわざわざ聞くこともないのだが、それでは済まない気持ちがユーフェミアにはある。セシルから事情を説明された時、心が罪悪感でいっぱいになった。あまりにも突然の事で自分達にも詳しい状況はわからないが、スザクは急に無為な発砲を繰り返し、暴走を始めたのだという説明を受けて。
“問題があったのはランスロットではなくパーツの方”。
ロイドの言葉の意味を飲み込めた時には、経緯を理解出来たのと同時に、姉の救出を頼んだ自分への無力さ、浅はかさへの憤りが胸を占めていた。無事を祈るだけだった自分。戦場という場所への意識。ゼロという存在への認識。どれもこれも、甘かったような気がした。十分わかったつもりでいたけれど、所詮は“つもり”でしかなかったのだろうか…。
「…すみません」
しかし、謝ったのはスザクの方だった。虚を突かれた。
「どうして謝るのです?」
「それは…」
スザクは口を閉ざした。今の謝罪は、ゼロを捕らえられなかった事、そして自分の弱さにだった。出来れば思い出したくない。けれど、覚えていないわけではない。むしろ何があったのか、いっそ忘れたいくらいに覚えている。自分が見たもの。そういえば、シンジュクで会った女の子が、ゼロの許にいたこともそうだ。仲間かどうかは定かではないが、確実に知り合いではあったと思う。
「スザク…?」
自分はゼロと、自分の弱さに敗北した。
「……」
「…ごめんなさい」
「え?」
「私も貴方に謝らないといけません。私が貴方に頼んだばかりに、嫌な思いをさせてしまいました」
シートの影から見た、絶望にも似た恐怖に怯えるスザクの肩。何があっても―死んでも―不思議ではない戦場へ彼を送り出したのは自分で、謝るなど、間違っているのかもしれない。けれど、それでも、あんな思いをさせる気は無論なかったのだ。本陣の象徴、姉の厳命、大衆の命。動けないものを背負ったからといって、自分は代わりに彼を送り出した。
「ごめんなさい、スザク」
「違います!ユフィのせいじゃありません!命令を欲したのは自分です。自分の力が、及ばなかっただけです」
ユーフェミアの、姉の命の危険に見ていられない程痛々しかった顔。力を貸してほしいと言った、彼女の願い。何よりも自分が、誰の犠牲も耐えられなくて。だから欲した命令。完璧に遂行出来なかったのは、自分の力不足以外の何者でもないのだ。
「…それに、僕は生きています」
スザクは口元で笑った。けれど、ユーフェミアの悲愴な面持ちは消えない。
「でもスザク…貴方、泣いていないでしょう…?」
怯え疲れて、意識が途切れてこのベッドまで運ばれたスザク。眠ってしまうまで聞こえていたうめき声と、眠ってからも続いたうなされている様な声は、今にも泣きそうだったのに。ひどく傷付いた顔をしているのが当然なのに、何も無かったような顔で目の前にいる。ただ、ユーフェミアにも分かるほど、瞳が違うのだ。初めて会った時に比べて比較にならないほど瞳の奥がずっと悲しそうなのだ。
「何があったのか、無理に話す必要はありません。ですが…」
いっそ泣いてほしいと言いたいくらいに、心配でたまらない。
「泣くことも我慢することは、ないのですよ」
ユーフェミアは、スザクの柔らかい髪に触れ、頭を撫でた。我慢されることがつらいなんて、とんだ我が侭を思ってしまうほどに優しい人だ。飛び降りた自分を受け止めてくれたあの瞬間感じた、優しい心そのまま。自分の弱さを決して見せず、真っ直ぐ、強く進んでいこうと自分に課している人。けれどそれだけでは、自分が今ここにいる意味、傍にいる意味が、共にいたいという想いが否定されてしまう。
「我慢することも必要ですが、時にはそうしないことも大切です。傷つけてしまったお詫びに、せめて」
柔らかく微笑むユーフェミア。包むように繰り返される手に、スザクは次第に表情を緩めた。
「ユフィ…」
「誰もいません。私だけです」
必要なら、忘れますから。ユーフェミアがそう言ったところで、スザクは出来るだけ力を入れないように、彼女の肩にすがり肩口に顔を埋めた。たとえ人がいないとはいえ、抱きしめることはさすがに出来なかったのと、顔を見られないようにするためだった。特に驚くでも抵抗するでもなく、ユーフェミアはそっと控えめにスザクの背に手を添えた。目の前でつらい顔をされるのが嫌で、少し強引になってしまったことを、内心謝りながら。
「……」
どれくらいそうしていたのか、しばらくしてやがて細々と声が聞こえてきた。
「…見たんです」
「え?」
「夢を…見ていたんです…」
あの、妙にリアルな夢。抽象的なくせにひどく現実的で、奇妙な夢だった。まるで、無理矢理に過去を見せつけられた感覚だった。…そう、“見せられた”のだ。おそらくは。奥に深く深くしまったものを掘り起こされ、吐き気までするような。
「悪い夢、ですか?」
スザクは分かるぐらいの動作で首肯した。頭の隅で、思い返しているに違いない。そうユーフェミアは感じた。
「怖いのですか?…悲しいのですか…?」
「…両方、だと思います」
少し、笑い声がした。何とも力ない声量だったけれど。ぽつりぽつりと零すように話すスザクの言葉を、聞き逃さないようにユーフェミアは努めて黙っていた。深入りはしない。けれど、聞くことは出来るから。スザクが話したいと思ったことだけを受け入れる。そして誰よりも、自分が聞く責任があると思った。
「どうして今頃になって、あの夢を見たのか…」
スザクは呟いた。日本占領の時、死んだ父親の顔もあった。否定の言葉しか、自分は持ち合わせていなかったけれど。
「訳が分からなくなって、ほとんど気が付いたらここにいた感じです」
自嘲気味にスザクが苦笑いする。しかし、そんな笑顔を見てもユーフェミアの表情は晴れない。スザクの傷ついた心が、痛切に響いてくるから。
「…つらい夢だったのですね」
スザクにとって、根深く、強く刻み付けられた悪夢なのだろう。おそらく、現実にあった。それぐらいしか分からないことが悔しい。癒してやれないことが悔しい。泣いても良いのだと、そう言うことしか出来ない自分が歯痒くて腹立たしい。
「…ごめんなさい、スザク」
ほんの一瞬、ともすれば見逃してしまうような短い時間、ユーフェミアはスザクを抱き寄せた。文字通り凍ったような表情で、スザクは音も無く口をパクパクとさせている。
「…ユ」
ユーフェミアの手が、スザクの頬を包む。白雪の様な手が触れる場所は、次第に熱を帯びていく。
「一人で背負わないでください」
難しいことを置いておくなら、何よりまず、目の前で苦しんでいる人間を放っておくのが嫌だった。スザクを傷つけた責任を抜いても、そのままにしておくなんて出来なかった。
「スザクが望むのなら、いつでも聞きます。だから、つらい顔をしないでください」
この澄んだ優しい瞳が曇る。それが、たまらなく嫌で。我が侭なのはわかっていても、苦しいなら、つらいなら言ってほしい。頼ってほしい。
「無理を、しないでください」
スザクが力を貸してくれるなら、自分も力になりたい。
「スザクが元気でいる方が、私は嬉しいです」
我知らず、ユーフェミアは微笑んだ。幸せであれば良いと思う。つらい思いをするのは、もうこれ以上。
「あ…っ」
「えっ?」
突然声を上げたユーフェミアにつられて、スザクもきょとんとした表情を見せる。ユーフェミアの手はスザクの頬を離れ、彼女はしゅんとした様子で少し俯いた。
「もうそろそろ、行かないといけません」
咄嗟に流れで、どこに、と言おうとしてすぐに思い当たった。忘れそうになっていたが、ここはまだナリタで、皆きっと戦後処理に駆け回っている状態だろう。それなのに、副総督がいつまでもこんなところに居るわけにはいかないはずだ。
「ここにいるのは貴方が目を覚ますまで、という約束だったので」
あまり長く居すぎると、また姉の使いが呼びに来るだろう。それは今この状況ではとても手間のかかることで、迷惑になる。
「…貴方はしっかりと休んでください。技術部の方々もそう仰っていました」
スザクにはもうしばらく寝ているように促す。スザクの主な役目がパイロットなこともあり、一人ぐらい欠けても支障はないから気にせずに、とのセシルからの伝言も伝えて。
大丈夫。言いたい事は、言えたつもりだ。
「元気になったら、また、お話したいです」
ユーフェミアの笑顔に含まれた微量な表情には、言い澱むスザクは気付かなかった。
「…自分は…簡単に話せる立場では…」
「なら、変えます。話したい時に、誰でも気軽に話せる国に。スザクは、友人なのですから」
大切な人を失わない、戦争のない世界に。それが、二人の希望だ。それを叶えることが出来たのなら、その世界に立場はないだろう。支配なんて、いらないのだから。
「…そうですね」
ユーフェミアの意志の強い笑みに、スザクも同調した。
「…お願いがあるんです」
「はい?」
その返事に間髪を入れず、ユーフェミアは腰を折ってスザクの額に柔らかく温かい感触を残した。
「どうか、良い夢を」
「……」
心身共に熱い氷に包まれ唖然とするスザクを気にも留めず、桃色の髪を翻し、振り返った彼女は笑顔でを向ける。柔らかく潤った唇が、魔法の呪文が唱えた。どんな悪夢でも跳ね返す、最強の呪文を。

「おやすみなさい」

扉が静かに閉り、足音が遠のいていく。花びらのような姿が見えなくなり、スザクは一つ息を漏らし、瞳を閉じた。

―…ありがとう。ユフィ…

きっと今度は、優しい夢が見れると信じて。

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