志水×日野SS。
どちらかと言うとゲーム目線です。
季節は秋真っ只中。
コンクール終了後です。
都合上星奏学園にマイ設定入ってます;
二人の関係は付き合ってはないけど…なレベル。(笑
お互いどう見たって好き~な感じ。
ほのぼのです。
この二人はほのぼのですよね…!
志水くんはまず音楽に対して褒めてくるのが多いですが、今回はそれを踏まえてアレ?な展開に。(笑
三編構成です。
雲が流れていく様に、
世界は小さく、でも確実に変わっていく。
でなければ、こんな光景を目にすることはなかっただろう。
そして、僕自身もそれを気に止めることすらしなかっただろう。
そう。
僕の世界もまた、変わったんだ。
ただ一人の女性によって。
*あなたに会えて…*
僕の周りは、今とても騒がしい。
大勢の人が喋っているのは、学校という環境において至極当然。
けれどいつものそれに加えて、たくさんの色が視覚を刺激してくる。
学校という場に似つかわしくない色とりどりの風船やら。
どうやって考えても邪魔にしかならなさそうな紙の輪が連なっていたり。
時折ペンキの匂いが鼻をついて。
昼休みでもないのにあちこちから食べ物の匂いまでやってくる。
…あと、制服じゃない人が多数。
どういう状況なのかって。
それは―…
「――…志水くんっ」
「…あ」
この雑踏と雑音の中からでも、はっきりと耳に響いた声の主の姿を廊下の向こうで捕らえた。
「日野先輩…おはようございます」
「おはよう志水くん」
深々と頭を下げると、近づいてきた日野先輩は朝から元気な笑顔を見せてくれる。
「皆朝からお祭り騒ぎだねー。どこも人いっぱいで…探しちゃった」
「…すみません」
「あ、ううん。別に謝らないで。会う約束してたわけじゃないんだし」
慌てて手を振る先輩の姿が微笑ましくて、僕はいつも、つい頬が緩んでしまう。
…でも、約束もないのにどうして?
僕の質問よりも早く、先輩は疑問を投げかける。
「えーっと…志水くんは確か縁日…だったよね。それが衣装なの?」
「あ…はい。着物です。…日本文化と歴史の追究だとかで」
「へー…文化祭なのに真面目なカンジ…」
着物をまじまじと見つめて観察する先輩。
そしてさっき先輩が言ったように、今この星奏学園は文化祭の真っ最中だ。
「…先輩のクラスは」
「模擬店だよ。定番の。」
「…先輩が作るんですか?料理」
「まさかまさか。私は運ぶだけ。それに私のクラス、男子が作って女子が運ぶってのが売りなんだから」
本当なら食べる専門が良かったけど、と言って先輩は明るく笑った。
ただそれだけで、僕はとても幸せな時間に思う。
「…あっ、聞かずに引き留めちゃったけど、今大丈夫?当番とか」
「はい。僕は明日なので」
「え?明日なのに衣装着てるの?」
「はい…クラスメイトに頼まれて」
「へ、へぇ…」
(それってつまり…客寄せ…;?)
「先輩?どうかしましたか?」
「え?!あ、なんでもないよ」
「…そうですか」
少し沈黙の後、先輩はうつむいてから目線だけ上げて聞く。
「あ、あのね…私、当番お昼からだからまだ時間あるんだけど…良かったら見て回らない?…一緒に」
奇跡に近い言葉を、先輩は僕にくれた。
最後の言葉は特に小さかったけれど、聞き逃さなかった。
そんなことを言われて、断る理由があるはずがない。
「…ダメ、かな」
「…喜んで」
そう告げた瞬間、頬を染めた先輩が可愛かった。