管理人黒峰の日々の徒然。
主に視聴アニメやらでの叫びなど。なんだかんだうだうだ言ったり空元気でテンション高かったり色々!
三編目。
登場人物増えます。
四月一日視点に戻ります。
登場人物増えます。
四月一日視点に戻ります。
『ナミダ』
しばらく四月一日の事情を聞いたあと、座敷童はしばらく考え込んで、思い至ったように顔をあげた。
「壺と水仙…ですか?…それなら」
「何か知ってるの?」
「はい。あなたが通ってきたのは壺中天ですね」
「コチュウテン?」
「霊力の宿った壺の中の別世界。水仙の花がたくさん咲いたところを通ってきたのなら、それは水仙の壺。
水仙の化身といわれている仙女の世界です」
四月一日はゆっくり言葉を脳内でリピートし、話をまとめた。
―…ええっと…つまりさっき水仙が咲いてたとこは壺の中で間違いないってことで……
…俺が壺に吸い込まれたのも自動的に決定かよ;
―ということは…ここもその壺の中なのか?
「…なんかよくわかんねぇんだけど…じゃあここも、その壺中天とやらなのかな?」
座敷童はゆっくりと首を横に振る。
「いいえ、ここは私たちが住んでいる山。霊山と呼ばれる場所です」
「霊山?…でも壺から出てないんだけど、俺…」
視線をはずして、うつむき加減に答える座敷童。
「清い気で満ちている所は、気の道で繋がっていることがあります。この山には水仙も咲いていますから、道も繋がりやすいんです」
「へぇ…」
―…侑子さんの言ってた一石二鳥ってこのことか…
壺に吸い込まれる前、「これなら一石二鳥かも」って言ってたもんな…。
「あ…あの時はごめんなさい。私が間違えておはぎを…」
―おはぎ?…あぁ、お中元のときの…
思い当たる事件を思い返す四月一日。
「あの方、大丈夫でしたか;?」
昏倒してしまった百目鬼のことを言ってるのだろう。
あまりに心配そうに見上げるから、安心させようと冗談ぽい笑顔で答える。
「あぁ、あの方は大丈夫。大丈夫。」
座敷童はほっとした表情を見せる。
「よかったぁ…//ずっと気になっていて…。あの後も叱られたんです」
「雨童女に?…仲良いんだね?」
雨童女が言ってた「あの子」って、この子のことだろうし。
「はい。いつも迷惑かけてばかりですけど…」
なんだか嬉しそうだな。
よっぽど仲良いんだな。二人。
「あ、あの何かこの山に御用ですか;?」
「あ、そうだ」
ポケットの中を探る。
せっかく珍しく侑子さんの意図に気付けたのに、忘れるところだった。
「だったら、あの、私っ;!ご、ご案内したいです…!//」
「これ」
目の前に差し出す白い包装紙に赤いリボンの小さな包み。
「え…?」
「いやぁ、えと…君、この前コイツに油揚げくれたでしょ?;//」
じゃれてくる管狐を指先で撫でる。
「あ…管狐の好物と聞いて…それで困っているみたいだったから…//」
「助かったよ。それでその…お返しっつーかなんつーか…。…はい//」
手が軽く重なる。
「どうもありがとう」
「////」
「ちょっと濡れてるけど、ビニールの袋だから大丈夫だと思うよ」
ふわりと手の重みがなくなって、包みは彼女の手に移る。
「これ…私に?」
まじまじとそれを見つめる座敷童。
「うん。…あっ、好みとかわかんないし…食べ物はいつ渡せるかわからないからダメだし…」
リボンが解かれ、中からはつい何時間か前に選んだヘアピンが2本。
「…わぁ…//」
「いやー、迷ったんだけど…もし気に入らなかったら…」
「嬉しい…///」
嬉しそうにヘアピンを握り締める座敷童。
「あ…よかった」
選んだ甲斐があった、な……
「……//」
潤む瞳。
涙を溜めた座敷童と目が合った瞬間、時間が止まったような感覚に襲われる。
「…////」
あ、あれ…?//
「「「あーーーーーーッ!!」」」
破られる沈黙。
「え?えッ;?」
声のした方を見上げれば、曇った空のグレーを背景に浮かぶ小さな黄色のスノボー×5。
「おまえ!また泣かしたな!!?」
その上に乗るのは鴉天狗。
ハリセンとサングラスを装備した真ん中の1人が叫んだ。
「Σえ?!いや…あッ!ち、違…!」
向かってくる鴉天狗たち。
「今度こそ許さないぞ!」
「罰を食らえ!」
涙を拭った座敷童は四月一日をかばう形で前に出る。
「違うの!この人はこれを届けに来てくれたのっ!」
「!危なーーーいッ!!」
先頭から順に急ブレーキをしかける5人の鴉天狗。
当たるか当たらないかギリギリのところで停止した隙に、座敷童に手を取られ走り出す。
「…こっち」
「え!?」
「大変だ!」
「連れてかれるぞ!」
「あの子が、連れてかれちゃうぞ!!」
「「「急げ~!!」」」
◆
森の奥へと進んでいく。
「……っ!」
「大丈夫!?」
下駄が脱げてしまい、座敷童は急いで取りに戻る。
「…こっち…!」
今度は自分が手を取り、先導された方へ手を引く。
「待てー!!」
「挟み撃ちだ!」
「はぁ…はぁ…あいつら、どこまで追ってくる気だ…;?」
いい加減疲れてきたし…この子もこれ以上着物のまま走らせるわけには…
「……//」
そう思って振り向くと、座敷童はうつむいていた。
「?どうした?」
思わず走っていた足を止める。
「ううん…。…とっても…//」
先は言わず、見上げる座敷童。
と同時に随分固く手を握っていたことに気付く。
「…あぁ!痛かった;?ごめん!;///」
「…//」
再び沈黙に包まれたとき、木の茂みから鴉天狗が勢い良く飛び出し、降下してくる。
「待てー!!」
「!わぁっ;!」
「「覚悟ーッ!」」
「やめて、お願い…っ!」
切なげな声の後、森にこだました声。
「あんたたち―…ッ!!」
―ピタッ…
鴉天狗の動きが止まる。
「あ…雨童女?」
見上げると、傘を広げた赤毛の少女がゆっくり降りてきていた。
しばらく四月一日の事情を聞いたあと、座敷童はしばらく考え込んで、思い至ったように顔をあげた。
「壺と水仙…ですか?…それなら」
「何か知ってるの?」
「はい。あなたが通ってきたのは壺中天ですね」
「コチュウテン?」
「霊力の宿った壺の中の別世界。水仙の花がたくさん咲いたところを通ってきたのなら、それは水仙の壺。
水仙の化身といわれている仙女の世界です」
四月一日はゆっくり言葉を脳内でリピートし、話をまとめた。
―…ええっと…つまりさっき水仙が咲いてたとこは壺の中で間違いないってことで……
…俺が壺に吸い込まれたのも自動的に決定かよ;
―ということは…ここもその壺の中なのか?
「…なんかよくわかんねぇんだけど…じゃあここも、その壺中天とやらなのかな?」
座敷童はゆっくりと首を横に振る。
「いいえ、ここは私たちが住んでいる山。霊山と呼ばれる場所です」
「霊山?…でも壺から出てないんだけど、俺…」
視線をはずして、うつむき加減に答える座敷童。
「清い気で満ちている所は、気の道で繋がっていることがあります。この山には水仙も咲いていますから、道も繋がりやすいんです」
「へぇ…」
―…侑子さんの言ってた一石二鳥ってこのことか…
壺に吸い込まれる前、「これなら一石二鳥かも」って言ってたもんな…。
「あ…あの時はごめんなさい。私が間違えておはぎを…」
―おはぎ?…あぁ、お中元のときの…
思い当たる事件を思い返す四月一日。
「あの方、大丈夫でしたか;?」
昏倒してしまった百目鬼のことを言ってるのだろう。
あまりに心配そうに見上げるから、安心させようと冗談ぽい笑顔で答える。
「あぁ、あの方は大丈夫。大丈夫。」
座敷童はほっとした表情を見せる。
「よかったぁ…//ずっと気になっていて…。あの後も叱られたんです」
「雨童女に?…仲良いんだね?」
雨童女が言ってた「あの子」って、この子のことだろうし。
「はい。いつも迷惑かけてばかりですけど…」
なんだか嬉しそうだな。
よっぽど仲良いんだな。二人。
「あ、あの何かこの山に御用ですか;?」
「あ、そうだ」
ポケットの中を探る。
せっかく珍しく侑子さんの意図に気付けたのに、忘れるところだった。
「だったら、あの、私っ;!ご、ご案内したいです…!//」
「これ」
目の前に差し出す白い包装紙に赤いリボンの小さな包み。
「え…?」
「いやぁ、えと…君、この前コイツに油揚げくれたでしょ?;//」
じゃれてくる管狐を指先で撫でる。
「あ…管狐の好物と聞いて…それで困っているみたいだったから…//」
「助かったよ。それでその…お返しっつーかなんつーか…。…はい//」
手が軽く重なる。
「どうもありがとう」
「////」
「ちょっと濡れてるけど、ビニールの袋だから大丈夫だと思うよ」
ふわりと手の重みがなくなって、包みは彼女の手に移る。
「これ…私に?」
まじまじとそれを見つめる座敷童。
「うん。…あっ、好みとかわかんないし…食べ物はいつ渡せるかわからないからダメだし…」
リボンが解かれ、中からはつい何時間か前に選んだヘアピンが2本。
「…わぁ…//」
「いやー、迷ったんだけど…もし気に入らなかったら…」
「嬉しい…///」
嬉しそうにヘアピンを握り締める座敷童。
「あ…よかった」
選んだ甲斐があった、な……
「……//」
潤む瞳。
涙を溜めた座敷童と目が合った瞬間、時間が止まったような感覚に襲われる。
「…////」
あ、あれ…?//
「「「あーーーーーーッ!!」」」
破られる沈黙。
「え?えッ;?」
声のした方を見上げれば、曇った空のグレーを背景に浮かぶ小さな黄色のスノボー×5。
「おまえ!また泣かしたな!!?」
その上に乗るのは鴉天狗。
ハリセンとサングラスを装備した真ん中の1人が叫んだ。
「Σえ?!いや…あッ!ち、違…!」
向かってくる鴉天狗たち。
「今度こそ許さないぞ!」
「罰を食らえ!」
涙を拭った座敷童は四月一日をかばう形で前に出る。
「違うの!この人はこれを届けに来てくれたのっ!」
「!危なーーーいッ!!」
先頭から順に急ブレーキをしかける5人の鴉天狗。
当たるか当たらないかギリギリのところで停止した隙に、座敷童に手を取られ走り出す。
「…こっち」
「え!?」
「大変だ!」
「連れてかれるぞ!」
「あの子が、連れてかれちゃうぞ!!」
「「「急げ~!!」」」
◆
森の奥へと進んでいく。
「……っ!」
「大丈夫!?」
下駄が脱げてしまい、座敷童は急いで取りに戻る。
「…こっち…!」
今度は自分が手を取り、先導された方へ手を引く。
「待てー!!」
「挟み撃ちだ!」
「はぁ…はぁ…あいつら、どこまで追ってくる気だ…;?」
いい加減疲れてきたし…この子もこれ以上着物のまま走らせるわけには…
「……//」
そう思って振り向くと、座敷童はうつむいていた。
「?どうした?」
思わず走っていた足を止める。
「ううん…。…とっても…//」
先は言わず、見上げる座敷童。
と同時に随分固く手を握っていたことに気付く。
「…あぁ!痛かった;?ごめん!;///」
「…//」
再び沈黙に包まれたとき、木の茂みから鴉天狗が勢い良く飛び出し、降下してくる。
「待てー!!」
「!わぁっ;!」
「「覚悟ーッ!」」
「やめて、お願い…っ!」
切なげな声の後、森にこだました声。
「あんたたち―…ッ!!」
―ピタッ…
鴉天狗の動きが止まる。
「あ…雨童女?」
見上げると、傘を広げた赤毛の少女がゆっくり降りてきていた。
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